糖質を控えめにしたいダイエット中は、外食するときにもライスは小盛を選びたい。各飲食チェーンではほとんどのところで小盛サイズが用意されているが、果たして何グラムなのだろうか。

飲食チェーンの小盛はどれくらい?



カレーチェーンのカレーハウスCoCo壱番屋の「小盛り」は200gと公表している。この量を決めた背景を聞いてみた。
「もともとは普通盛しかありませんでしたが、メニューに少なめがほしいというお客様のご要望から小盛をご用意しました。普通盛はお茶碗に軽く2杯程度の300gです」

次に牛丼チェーンに対して、小盛ご飯の量を問い合わせてみた。しかし、吉野家、松屋、すき家、なか卯、いずれもグラム数を公表していないとのこと。

しかし糖尿病治療に取り組む内科医で、糖質オフの指導も行っている水野雅登先生によると、ご飯の量を算出する手段があるという。
「各社がメニューの成分・カロリーを公表していれば、ご飯の量は算出できます。牛丼屋であれば、大盛、並盛、小盛、そしてそれに対応する牛皿についての成分・カロリーが表示されていれば、カロリーの差を比べることで算出できます。一般的にはご飯の量は小盛だと200g程度です」

計算方法を簡単に紹介する。

1.ライスの「蛋白質」量の算出
並盛牛丼のライスの蛋白質の量を計算する。

並盛牛丼の蛋白質 - 牛皿の並盛の蛋白質
= 並盛牛丼のライスの蛋白質

2.ライスの量を逆算する
このライスの蛋白質量からライスの量自体を逆算。
文部科学省の「食品成分データベース」によると、ご飯 100g(炊いた状態)で、蛋白質は2.5g。

3.小盛のライスの量を比例計算する
蛋白質量を使って比例計算。

並盛牛丼のタンパク質量:並盛牛丼のライスの量(概算算出値)
=小盛牛丼のタンパク質量:小盛牛丼のライスの量

これで、小盛牛丼のライスの量が出せる。
実際、ある牛丼屋の数値を使って計算してもらったところ、並盛のライスの量は300g、小盛のライスの量は200gと予想されるという。自分がよく利用する牛丼屋に牛皿メニューがあれば、この方法で計算してみよう。

糖質オフダイエットにふさわしいご飯の量は


だがそもそも、糖質オフダイエットにふさわしいご飯の量はどれくらいなのだろうか。水野先生は「理想はゼロです。真剣にダイエットに取り組みたいならゼロ以外の選択肢はありません。ご飯を摂り続けることは『太るものを摂りつつ、やせたい』と言っているのと同じだからです」と説明する。

ご飯の量を減らしていくと味気なさを感じることもあるだろう。そんなときはどうすればいいのか。

「タバコの『減煙』と同じように、徐々に減らしてやめられる人もいれば、かえって一気にゼロにしたほうがいいという人もいます。味気なさ自体は、おかずで、タンパク質や脂質を増やすといいでしょう」

糖質オフに慣れてくると小盛でもOKになると聞くが本当なのだろうか。

「人によります。代謝の特性は千差万別で、人によって大きく異なるからです。脂質やタンパク質がしっかりエネルギーとして使える人は、小盛でも満足しやすいかと思います。代謝が正常ということです。
逆に代謝が正常でない場合は、糖質不足がエネルギー不足に直結しますので、小盛では不足感が出ると思います」

脂質やタンパク質がエネルギーとして使えるようになる「代謝が正常な状態」はどうすれば作ることができるのだろうか。

「タンパク質や脂質をしっかり使うには、もともとの体内にあるタンパク質や脂質が充分であることと、鉄、ビタミン、ミネラルが充分にあることが必要です。どれかに不足があれば、ミトコンドリア機能が低下し、タンパク質や脂質はしっかり使えません」

水野先生は、代謝以外にも、糖質がやめられない理由を次のように述べる。

「嗜好や味覚も人それぞれ異なりますので、満足感も人それぞれ異なります。また、糖質に依存してしまうのは、代謝による身体の依存だけでなく『精神依存』もあります。こちらの場合は精神的なアプローチが必要になります。依存の程度もさまざまです。軽い依存がある方はよく見られます」

(石原亜香利)

取材協力/水野 雅登(みずの まさと)先生
2003年杏林大学医学部医学科を卒業後、同院高齢医学科に所属。東京警察病院を経て、2006年より友愛病院に勤務。2015年より講演活動を開始。講演会の様子をYouTubeにアップしている。両親とも糖尿病家系で、精力的に糖尿病治療に取り組む。97単位に及ぶインスリン注射も不要となった実績を持ち、関東一円から外来患者が訪れている。
http://www.mizuno.tokyo/