今、B級グルメマニアの中でひそかに話題となっている「うどん自販機」をご存じでしょうか。

お金を入れてボタンを押すと、インスタント乾麺ではないうどんを調理してくれるという、なんとも心ニクい機械なのです。

70〜80年代には各地の観光地に置かれていたといううどん自販機たちですが、その維持の難しさやスペースの問題などから次々と消えていき、今では日本全国に数十ヶ所、そのうち関西ではわずか3ヶ所でしか稼働していません。

今回は、そんな希少B級グルメである、関西うどん自販機のうちの一台をご紹介します。

神戸深江の工業地帯にうどん自販機あり


場所は兵庫県神戸市東灘区深江浜。阪神線深江駅から歩いて10分程のところにあります。少々わかりづらい場所にあるので、行き方についても説明しましょう。



深江駅を降りたら、すぐそばの踏切を渡らず歩道橋の見える方へとまっすぐ歩いてください。



そのまま歩道橋を渡ると「深江大橋」に着きますので、そこをこれまたまっすぐに行きましょう。



すると、セブン-イレブンが見えてきますので、そこを左に曲がりましょう。



うどん自販機が置かれているコンビニエンスストアは、その道をまっすぐ行ったところにある赤い屋根の建物です。



そしてこれが、お目当てのうどん自販機。もっと古めかしいものを想像していましたが、その外見は意外にも新しさがありました。店員さんに訊いてみたところ「この前オーバーホールしたんです」とのことです。

それに加え、この自販機がいつからあるのかということも尋ねてみましたが、それは分からないとのこと。ただ、かなり前からこの場所にあったそうです。自販機なのになんだか神秘的ですね。

イイ音を立てて作ってくれる天ぷらうどんの味は?





では、早速うどんを購入してみましょう。そのお値段230円、硬貨を入れると下の方から「カランコロン」という音がして心地よいです。



全額投入し終えるとメニューボタン上のランプが点灯し、丸っこいフォントの数字がカウントダウンをはじめました。これは「ニキシー管」と呼ばれるもので、レトロな雰囲気がうどん自販機愛好家にはたまらないそうです。

カウントダウン中、機械の中では「トスッ」と何かが落ちたり「カカカカッ」と何かを揺らすような音が。「いったいこの機械の中で何が起こっているんだ?」と考える間もなく調理は終了。



取り出し口からうどんが出てきました。お金を入れてから完成まで、実に25秒、かなり早いです。



自販機左下にあるお箸と薬味をとり、そばに用意されたテーブルに腰掛けいざ実食。

最初に大まかな感想をいってしまえば、これかなりイケます。「どうせインスタントと同じかそれより落ちる味なんだろうな」とお考えの方もいらっしゃるかもしれませんが、私はインスタントより上のように思えました。



麺は見た目以上に腰があってボリュームたっぷり。歯ごたえもよく、予想以上に食べ甲斐があります。

天ぷらは小さな小エビがいくつか入っているのみで、いってしまえば天かすに近いものですが、おつゆをふんだんに吸ってうまみたっぷり。その絶妙な柔らかさはどこか懐かしさを感じさせてくれました。

これで230円、はっきりいって安いと思います。ましてやこれが関西にわずかという希少なB級グルメというのであれば「珍しいものを食べている」というプレミア感がプラスアルファといったところです。

そばもイケる!





せっかくだからそばも食べてみました。今回はプラス30円して生卵つき。こちらもコシが強めでズルズルといけます。少々そばの実のツブツブ感が強いのは好みが分かれるところかもしれませんが、自分はOKでした。もし近くにあるのなら、週1とは言わずとも、2週間に1回は食べにいきたいですね。

食べに行くなら今のうち


というわけで、神戸深江浜の自販機うどん、満足でした。先ほども言った通り、こういった自販機はどんどん少なくなっています。おそらくメンテナンスにも手間がかかるでしょうから、壊れてしまえばそのまま廃棄ということもあり得る話。ひょっとするとこの神戸のうどんも、ある日突然食べられなくなってしまうかもしれません。

その時になって「食べていればよかった!」と後悔するのはなんとも残念なこと。なので、是非一度食べに行ってみてください。ニッチでレトロなB級グルメ体験、楽しいですよ。
(かるめら)

石田鶏卵
〒658-0023 兵庫県神戸市東灘区深江浜町110-2
078-411-1372
9:00から21:30まで
トッピング:生卵30円 ゆでたまご54円