中国で約30年にわたり続けられてきた「一人っ子政策」が廃止されてから1年が経過した。この1年で多くの「第2子」が生まれたことだろうが、弟や妹が生まれた「第1子」たちの中には、一人っ子である親も知らない苦悶に苛まれるケースが少なからずあるようだ。(イメージ写真提供:123RF)

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 中国で約30年にわたり続けられてきた「一人っ子政策」が廃止されてから1年が経過した。この1年で多くの「第2子」が生まれたことだろうが、弟や妹が生まれた「第1子」たちの中には、一人っ子である親も知らない苦悶に苛まれるケースが少なからずあるようだ。

 中国メディア・今日頭条は24日、「第2子に関する小学生の作文をふと見たら、子どもを2人もうけたくなくなった」とする記事を掲載した。記事は「第2子までの出産が認められるようになって多くの母親が2人目を妊娠、第1子の面倒はハウスキーパーや祖父母に見てもらっている」と紹介。母親は「出産するまでわが子とはほんのちょっとお別れ」と考えるが、「2人目を生んでから、第1子にこれまで同様の愛を注いでいるだろうか」と疑問を提起した。

 そして、「子どもたちの中には、口にはしないものの心の中で快く思っていないのだ。それは、彼らの書いた作文を見ればわかる」として、小学生が実際に書いた第2子出産に関する作文を紹介した。

 1人目の作文は、「2人目なんていらない」というストレートなタイトルだ。そこには、「弟が生まれてから、ママに捨てられてしまった。パパやママは弟にばかり物を買い与えるのに、自分は塾に寄宿させられ週末にしか帰れない。ママはいつも『あなたはママが産んだ子』だと言うが、ママは弟の世話ばかり見ている。弟が嫌いだ」という苦しみに満ち溢れた心情が綴られている。

 2人目の作文はさらに力が入っている。「国がこの数年二人っ子を奨励してきたことは知っている。遊び相手ができるからとママに騙されてきた。今、ママが妹を生むのを止めれば良かったと後悔しているが、後の祭りだ。自分はもはや、この現実を受け入れるしかない」とのこと。3人目の作文は、「ママに聞きたい。あなたは僕を愛していますか」という書き出しで始まり、ある日、妹が泣いた時に母親から「あなたが泣かせたんでしょ」と責められ、「自分じゃない。ずっとテレビを見ていた」と言っても一向に信じてもらえず、非常に嫌な思いをしたと訴えた。そして、これ以後、「妹ともママとも距離を置いている」としている。

 4人目の作文は、まだ弟や妹がいない子が書いたもののようだ。「1つで済むリンゴが2ついるようになり、お金がかかる」、「服や靴もたくさん必要になり、お金がかかる」、「ただでさえ疲れているおじいちゃんとおばあちゃんが、お世話に疲れる」、「病気がち、頭が悪い、言うことを聞かない子だったら面倒」という理由を並べ立て「2人目はいらない」と主張。「自分がママのために2人分立派になる」と母親を説得するつもりだという。

 記事は、2人目をもうける親はくれぐれも1人目をないがしろにしないように、子どもたちはみんな愛され、守られることを欲しているのだ、と訴えている。

 作文からにじみ出ているのは、上の子の下の子に対する嫉妬に他ならない。長男長女なら誰しも経験するであろう「ママが弟と妹に取られる」という悲しい思いであり、日本や諸外国では「よくあること」なのだが、長年「一人っ子」時代が続いてきた中国では違う。そして残念なことに、幼い子どもが抱くこの辛い感情を、一人っ子である両親はすぐに理解できないのである。「一人っ子」を「二人っ子」に変えることは、単に人口や経済の話だけでは済まない、多くの事柄に影響を与えるのだ。(編集担当:今関忠馬)(イメージ写真提供:123RF)