「HUNTER×HUNTER1」13巻を振り返る。テレビゲームにもなったグリードアイランド

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冨樫義博の『HUNTER×HUNTER』が休載されてから13週目が経過。今回は単行本13巻を振り返る。
クラピカ対幻影旅団の抗争は13巻で一区切り。ゴンとキルアは、幻のゲーム・グリードアイランドをプレイするため、ツェズゲラによる選考試験に挑む。ビスケ、プーハット、ジートらとともに合格し、ゲームの世界に身を投じていく。


命懸けのゲーム、グリードアイランド


グリードアイランドはゴンの父親、ジン・フリークスが作ったゲーム。プレステにそっくりな形のジョイ・ステーションで起動できる。
イベントをこなして全100種類のカードを集め、コンプリートしたらクリア。
ゲーム内で就職することもでき、恋愛イベントや結婚も可能。何年もかけて楽しむことができる。スルメゲー(やりこめばやりこむほど面白くなり、なかなか飽きがこないゲーム)的要素があり、その中毒性から何年もゲームの世界から抜け出そうとしないプレイヤーも多い。

どんなケガも治せたり、若返りができたり、物が透けて見えるメガネが手に入ったり、カードには様々な効果がある。クリアした人は、好きなカードを3枚持ち帰ることができる。
レア度によって、ゲーム全体でカードは枚数の限度が定められていること、クリア得点を目当てに報奨金を出す富豪がいるということがあり、プレイヤー同士のカードの奪い合いは避けられない。

桃太郎電鉄やマリオカート、ドカポンなどは、ゲーム内で行われるプレイヤー同士の足の引っ張り合いとゲーム外で行われる殴り合いをしなくてはならず、二度手間である。しかし、グリードアイランドならゲーム内で嫌がらせと殺し合いを同時に楽しむことができる。

実際にゲーム化されたグリードアイランド


のちのキメラアント編で行われるコムギ対メルエムの軍儀、幽遊白書で行われたオチモノパズルゲーム・スリーセブンなど、マンガの中に登場するゲームの設定がいちいち細かい。
商品化されないことがほとんどだが、グリードアイランドはプレイステーションにてゲーム化されている。


『トルネコの大冒険』や『風来のシレン』のような、入るたびにマップが変わるダンジョン探索型RPGとなっている。原作のものとは違い、カード的要素はゼロ。強欲島と和訳できるタイトルでも、特に登場人物からはそういったエゴは見られない(仲間になるときに金をせびってくるハンゾーくらいしか思い浮かばない)。

原作を待たずしてゲーム化してしまったグリードアイランド


ゴンが「週刊少年ジャンプ」上でグリードアイランドのプレイを開始したのが、2001年の8月下旬。プレステ版が発売されたのは2000年の10月26日。その頃、ジャンプでは、幻影旅団の偽物の死体が発見されていた。グリードアイランドについて、その存在は明かされていたものの、ゲームの詳細は不明だった段階である。

グリードアイランド編に突入したのを、プレステ版を途中で挫折した人が原作を読むと、なにかプレステ版に騙されたような気持ちになる。しかし、最後までゲームを進めると、ラスボスからある告白を受けることになる。

「本物がどれだけのものかは知らんが、こちらの方が絶対に面白いに違いない…」

騙されたような気持ちになるのではなく、本当に騙されていたのである。
そういった部分を考えても、やはり本物の方が面白いと思う。
(山川悠)

参考→HUNTER×HUNTER」13巻を振り返る。マニア・コレクターの苦しみ