「状況」に惑わされず、崩れないメンタル

121球2失点完投の糸川 亮太(川之江)

「これまではしょうもないミスがなかったが、今日それがあったことはむしろよかった。このミスを練習で自覚しながら秋に臨みたい」

 勝った川之江・友近 拓也監督がこのように試合回顧したように、小松「2」・川之江「3」が記された失策以上に次の塁や得点を簡単に相手に与えてしまうような判断・プレーミスが双方に見られたこの一戦。

 試合は1対2で迎えた6回裏一死一・二塁から5番・江口 敏生(2年・三塁手・168センチ62キロ・右投右打・伊予三島リトルシニア出身)の中越二塁打、さらに四球を挟み8番・伊勢 泰人(2年・捕手・172センチ63キロ・右投右打・生駒リトルシニア<奈良>出身)の右前打で2点ずつを加えた川之江に凱歌が上がったが、小松・宇佐美 秀文監督いわく「四国地区でなく他地区のレベルが上がっている」評価をいい意味で覆すことは両チーム共にできなかった。

 その中でも1人「成長」を感じた選手がいる。121球8安打2失点・自責点0で完投勝利を収めた川之江・糸川 亮太(2年・169センチ63キロ・右投右打・川之江ボーイズ出身)だ。この夏まではスピードに頼りすぎ制球を乱す場面が多かった糸川だが、この試合ではスピードより制球を重視し、フォーク・スライダー・カーブといった縦方向への変化球を多用。三者凡退は最終回のみながら、与えた四死球1で失点を最小限に食い止めた。

「カッカしてはいけないことがようやく解り始めた段階ですね。まだまだこれからです」

 高校時代は花咲徳栄(埼玉)のエース。そこから社会人野球・ローソン(現在は廃部)に進み、2002年・阪神タイガースドラフト9巡目指名・3年間日本野球の最高峰を経験した左腕投手。昨年4月から川之江の外部コーチに就任した新井 智コーチの評価はまだ辛口だが、この「状況」に惑わされず崩れないメンタルが、甲子園へのベースになることは言うまでもないこと。そして甲子園を見れば、それが勝利への近道になることも明らかだ。

(文=寺下 友徳)

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