ライブドア(LD)事件で証券取引法違反(有価証券報告書の虚偽記載など)の罪に問われた元社長、堀江貴文被告(33)の第10回公判が2日、東京地裁(小坂敏幸裁判長)で開かれた。検察側証人として出廷した金融子会社「ライブドアファイナンス」(LDF)元社長、中村長也(おさなり)被告(39)=分離公判中=は主尋問で、買収予定の会社を利用した架空売り上げの計上について堀江被告に報告したと証言した。

 堀江被告の公判で、共犯で逮捕された関係者が証人出廷するのはLD元取締役、宮内亮治被告に続いて2人目。中村被告は起訴事実をほぼ認めており、「堀江主犯説」をとる検察側の構図に沿った証言を行った。

 証言によると、LDは2004年9月期連結決算で予算を達成するため、買収予定だった出会い系サイト運営会社「キューズ・ネット」と消費者金融「ロイヤル信販」からの架空売り上げの計上を計画。2社から計15−16億円程度を“受注”し、一連の処理を終えた中村被告が「キューズ、ロイヤルの利益付け替えの件ですが」と言って報告に行くと、堀江被告は「ああ、そう」と答えたという。中村被告は「何の反応も示さないから、理解していると思った」と述べた。

 このほか中村被告は、LDが携帯電話販売会社を買収する際、堀江被告は故・野口英昭氏から投資事業組合を使ったLD株売却の仕組みについて説明を受けていたと証言。野口氏から「(堀江被告から借りた)LD株を売却して買収代金に充て、(売却金が余って)もし利益が出たらLDFに還元する。今の株価ならば、10億円ぐらい儲かりますよ」と言われると、堀江被告は非常にうれしそうに「そんなに儲かっちゃうの。予算に計上しなくちゃね」と話していたという。

 野口氏からはLD株売却益を売り上げ計上してはいけないという説明はなく、中村被告は堀江被告の発言について「指示だと思った」と語った。

 ダークスーツ姿で出廷した中村被告は、午後の尋問から上着を脱いで証言を行う様子などが見られたが、終始小声で淡々と証言を続けた。堀江被告は腕組みをして中村被告や検察官をじっと見ていたりしたが、自身の発言などが証言に出ると苦笑いを浮かべていた。

 中村被告への証人尋問は、あと4回行われる予定。次回は3日。【了】

■関連記事
堀江被告側、公訴棄却申し立て(9/29)
宮内被告の証言に食い違い(9/26)
宮内被告 LD売却益流用認める(9/25)