ライブドア(LD)事件で証券取引法違反(有価証券報告書の虚偽記載など)の罪に問われた元社長、堀江貴文被告(33)の第7回公判が25日、東京地裁(小坂敏幸裁判長)で開かれた。検察側証人として出廷した元財務担当取締役、宮内亮治被告(39)=分離公判中=は弁護側の反対尋問で、LD株売却益の一部を流用したことを認めた。

 公判では、「堀江被告が主犯」とする検察側の構図を崩そうと、弁護側は冒頭陳述などで宮内被告らがLD株売却益の一部を私的流用したと訴えていた。そのため、この日の反対尋問で弁護側は、女性コンパニオン派遣会社「トライン」を株式交換で買収した際、「M&Aチャレンジャー投資事業組合」などを経由したLD売却益約2億6000万円の流れを問いただした。

 弁護側の指摘によると、LD株売却益約2億6000万円はLD子会社元社長、野口英昭氏(LD強制捜査後に沖縄で死亡)らが香港で設立したペーパーカンパニー「PSI」にいったん送金された。さらに、そのうち約1億5000万円は、宮内被告とライブドア・ファイナンス元社長、中村長也被告(39)が同じく香港で設立したペーパーカンパニー「PTI」に流れた。

 宮内被告はトライン分のLD株売却益について、「自分たちで使うためではなく、野口さんへの報酬に使おうと考えていた。(PTIに送金された)1億5000万円のうち、野口さんから1500万円を借り、生活費に使った」と証言した。

堀江被告以外で起業 「USENからLD株を買い戻そう」

 また反対尋問では、宮内被告は保釈後にかつての部下に「堀江以外の被告人チームで2−3年でLDと同規模の会社を作り、USENからLD株を買い戻そう。堀江は芸能界入りすると思う」とのメールを送信していたことを認めた。資本金は3億円だといい、弁護側が「3年ばかりでUSENを超える会社をつくれるのか」と問うと、宮内被告は大きな声で「がんばります」と述べた。

 弁護側は、LD株の買い戻し資金としてペーパーカンパニー「エバートン・エクイティ」のスイスの口座に還流した自社株売却益など35億円を、被告人チームで使ってしまおうと話し合ったことはないかと尋ねたが、宮内被告は「ありません。正直欲しいですが、そういう気持ちはあってもできません」と強く否定した。ただ、エバートンからPTIに送金された4000万円で、中村被告と1台づつ2000万円の高級外車フェラーリを購入したことは認めた。

 その一方で、弁護側が「検察の取り調べの時に、協力しないと自分の横領がやられて(起訴されて)しまうと思わなかったか」と聞くと、宮内被告は「思わなかった。横領ではないからだ」と答えた。

 この日の宮内被告は弁護側の質問に対して、頻繁に「思い出せない」「わからない」と回答。午後の公判でも宮内被告は「疲れて集中力が低下しており、思いだせない」と述べたため、弁護側が「真実じゃないから思い出せないんじゃないのか」とたたみかける場面もあった。このため、この日の公判は予定より1時間半ほど早い午後3時半に終わった。

 次回は26日に行われる。【了】

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