ろうそくの明かりの下、舞台で化粧の手順を披露する芸妓(撮影:吉川忠行)

写真拡大 (全2枚)

江戸の花街の魅力を外国人観光客に紹介する催しが28日、新東京タワーの建設予定地に近い東京都墨田区の向島(むこうじま)で行われ、芸妓(げいこ)の支度の様子や長唄が披露された。

 今回の催しは、東京都が海外の旅行会社に東京の観光名所を紹介する視察旅行「ファム・トリップ」の一環。2002年から毎年行われ、向島が紹介されるのは今年が初めて。今回は米国から旅行会社の企画担当者ら10人が7泊5日の日程で来日し、向島のほかに浅草やお台場なども視察する。

 向島の料亭や芸妓屋などで構成する「向嶋墨堤(ぼくてい)組合」の波木井(はきい)照夫組合長は、「向島には芸妓が約130人おり、料亭が18軒ある。浅草や神楽坂など都内に残る花街のうち最大規模」と現状を説明した。また、向島は2011年の完成を目指す、新タワーの建設予定地から徒歩で15分程度と近いため、「新タワーには年間300万人くらい来ると思うが、こちらにもお連れしたい」と、高さ600メートルを超えるタワーと花街の共生への期待感を述べた。

 舞台では、芸妓がろうそくの明かりの下、化粧を始めてから、かつらをかぶるまでの様子が実演され、長唄と舞踊が披露された。また、4人の旅行参加者が、鼓(つづみ)の打ち方を芸妓から習い、不慣れな手つきながらも興味深げに挑戦していた。

 参加者からは、「芸妓は歌舞伎役者になれるのか」「なぜ白塗りなのか」など、次々と質問が飛び出した。「ハリウッド映画『SAYURI』の影響はあったか?」との質問には、波木井組合長が「あれはフィクション。花街に興味を持つ方はいると思うが、映画でお客が増えたことはない」と、花街の実情と映画の違いを説明した。

 向嶋墨堤組合は、1986年に芸妓屋・料亭・料理店の3業種の組合が一体となった組合で、花街の活性化に取り組んでいる。同組合では7月6日に20歳代の女性を対象に、会席料理や伝統芸能を楽しむ料亭入門講座を開く。参加費は1万円で、申し込みは同組合(03-3623-6368)まで。【了】

■関連記事
新タワーと江戸情緒の両立を(5/12)
新タワー最終候補地とは何か(4/3)
新東京タワー、墨田区に決定(3/31)

■関連コンテンツ
livedoor 地図情報(墨田区向島)

■関連リンク
向嶋墨堤組合