【中華街】ナゾの噂「最初の客がチャーハンを注文すると、その日は儲からない」って本当?

写真拡大

<横浜のココがキニナル!>
横浜中華街には、「最初の客がチャーハンを注文すると、その日は儲からない」というジンクスがあるらしいです。中華街の料理人さんにそのジンクスは日ごろ当たるものなのか取材して!(だいさんのキニナル)

中華街の「酢豚」に“パイナップル”が入っている割合は?

※本記事は2015年1月の「はまれぽ」記事を再掲載したものです。

みなさんは「自分ジンクス」があるでしょうか? ザキヤマ(筆者)は「出かける前、時間にゆとりがあると高確率で遅刻する」というジンクスがある。単に余裕ぶっこいて寝てしまったりするだけなのだが・・・が、人のジンクスを聞くのは面白いし、飲み会などでのネタにもなるのでおすすめ。

そんな飲み会を盛り上げてくれるジンクスが、横浜中華街にもあるという噂を聞き、中華街をうろうろしてまいりました。

■ひたすら聞きこむ

今回は、より正確な売上を把握しているであろうフロアのスタッフ中心に話を聞くことにする。
 

まず、最初に入ったのは横浜大飯店。

1952(昭和27)年開業の同店は食べ放題のほかに単品でのメニューもある。
 

こちらに勤めて約30年のベテランの武田さんにお話を伺う。武田さんは。さっそくジンクスのについてお聞きしてみると・・・「聞いたことありませんね」と苦笑。件のジンクスだけではなく、ほかのジンクスも聞いたことがないそう。
 


2軒目は大珍楼(だいちんろう)。

開業して約20年目という、食べ放題メインの同店。受付の永治さんはジンクスについては「聞いたことない」そう。件のジンクスが流れる理由って何だと思いますか、とお聞きすると「一番最初にチャーハンを頼むということは、前菜などの料理の注文も入りにくいですし、単価も安いので儲けが少ないってことなのでは」とのお答え。たしかに、チャーハンを食べたらそれだけで満足しちゃうもんな。
 


3軒目は慶華楼。

店長の董(とう)さんにお話を伺う。
慶華楼は1968(昭和43)年開業のお店。ジンクスについてはやはり「知らない」「そんなの信じなくていいよー。小さい子どもが信じるようなことだよー」と笑っていらっしゃった。そのご様子からすると、全然思い当たることがなさそう。

はまれぽ編集部・山岸と「いやーみんな知りませんねー。ジンクス自体、実はないんじゃないのー??」とか言いながら朝の中華街を練り歩く。

4軒目は緑色のチャーハンで有名な翡翠楼へ。
 

店長の林さんにお話を伺う。
開業10年目。オリジナルチャーハンがイチオシの同店では、件のチャーハンジンクスってとても縁起が悪いのではなかろうか、と思いつつ、恐る恐る聞いてみました。

「初耳ですね。うちの店は朝一番で翡翠チャーハンが出ることが多いですが、そんな事実ありません」とおっしゃっていた。人目を引く緑のチャーハンはジンクスなんかはねのけて逆に福を呼ぶぐらいの勢いなんでしょうか。ありがとうございました。
 


5軒目は東光飯店。
 

一番乗り。
と、本当に性格が悪いと思うのですが、開店一番にチャーハンを頼むとこの日の売り上げは悪いのか・・・? 実際に検証させていただきました・・・本当にすみません。
 

チャーハンが充実している東光飯店。
大きなエビがうれしい蝦仁炒飯(エビチャーハン、800円)と、具だくさんの餡がかかった名物・東光炒飯(1000円)をいただきました。


うまー!! どちらもボリュームがあり、最後まで飽きないお味。これは開店一番にでもいただきたくなります。

完食後、この日お店にいらしたスタッフの米沢さんにジンクスについてお聞きしてみた。やはり聞いたことがないそう。「ここのチャーハンは美味しくて人気なため、むしろどんどん出てほしいです」とのこと。ジンクスの理由についても、見当がつかないそうで「中華街じゅうにチャーハンはありますし・・・」と考えられていた。

この日の売り上げについて、また後日伺うことにして、お店を後にした、東光飯店さんほんとすみませんでした・・・

ここからさらに聞き込みを進めたが、ジンクス自体を知っているお店がなかなかなく・・・中には「そんな根も葉もない噂なんて不愉快」と取材をさせていただけないお店もあった。

6軒目・興昌のご主人も「知らないね」とのこと。


7軒目・牡丹園。開業38年目。

美人ママの林さんも「お店をやっている友達の間でもそんな話題は出たことがないです」とのこと。
 



8軒目・好々亭(はうはうてい)。開業30年目。

「そもそも中華街のジンクス自体聞いたことないです」と店主の石井さん。
 


9軒目・はまれぽでもおなじみの愛群(あいちゅん)。開業25年目。

愛群のお父さんにお伺いしても「聞いたことがない」そう。「美味しいからうちはよく一番にチャーハン出るよ」とにこにこしていらした。
 

甘かったかも・・・とこの時点で気付き始める。

■ひたすら聞きこみ続ける

この日、初めて知ったけど、お店を回るのって結構大変だ!! 編集部・山岸は帰っちゃったし、このまま何も出なかったらユーザーさんたちになんて言おう、と思っていると・・・
 

12軒目・彩鳳。

ここでジンクスを知っている方を発見!! お顔出しとお名前はNGだったが、彩鳳は開業18年目だが、中華街に来て約40年になるという、お母さんが知っていらした!

「詳しいことはわからないけど、私の母が言ってたよ。どうしてなのかは、よく分からないけど・・・でも迷信だね。売り上げが悪かった時の言い訳みたいなもの。今はだれも言ってないよ」とのこと。

詳しいことはお伺いできなかったが、中華街に件のジンクスがあるということはわかった。ほかにも知っていらっしゃる方がいないか、再度出発!!
 

かの有名な梅蘭や、1936(昭和11)年から開業している海員閣にも行ったけど手掛かり無く。彩鳳で取り戻した元気も、もう使い果たしそうに・・・
 

と、18軒目の同發本館で手掛かりが!!

マネージャーの斎木さんから「ぼんやり聞いたことあります」との情報を入手!! さすが明治時代からの老舗。詳しいことは斎木さんもご存じなかったが、「結婚3年目で離婚しやすい、というような、理由もよく分からないジンクスなので、気にしていません」とおっしゃっていた。

と、なんと19軒目の彩香でも知っている方にお会いできた!!
 

創業7年目。陳さんにお話を伺う。「母がよく言っていたのを聞いたことがあります。私はあまり気にしていませんが・・・」と陳さん。詳しいことは陳さんもわからないそうだが、実際同店は最初のお客さんがチャーハンを頼むと売り上げが伸びないらしい。

そのほかにも「一番最初の客が男性だと売り上げが良くない」というジンクスもあるそうで、どちらも詳しいことはわからない。

この後、今度は「女性」のジンクスについて、ほかのお店でもお話を聞けた!!
 

25軒目の楽園。開業60年目。

スタート地点の横浜大飯店の隣のお店。同店のお母さんいわく「一番最初のお客さんが女性だといいっていうのを聞いたことがあるよ。女性には福がついてくるっていう、中国の言い伝えみたい」とのこと。なるほど、先ほどの男性のジンクスと同じですね。

この後、足が乳酸とベストフレンドになりそうになるまで聞き込みを続けたが、ジンクスについての情報はなかった。全部で30店舗聞いたところで、うちに帰りました。

で、2日後!!

東光飯店での意地の悪い検証結果を聞きに行くべく、再び中華街へ。
この日はお店にいらしたのは林さん。
 

ぶっ飛ばされちゃうかもな・・・と思いながら恐る恐る2日前の売り上げ具合を聞いてみると・・・

「2倍はありました」

なぬー!! まさかの倍!? 良かったはずなのに、なんなのこのちょっとがっかりした感じは!! 山岸の性格が移り始めてるのだろうか!! 困る!!

実はこの日も別の店に足をはこび一番乗りでチャーハンを食べた。

オーソドックスなぱらぱらチャーハン。後日電話したけど売り上げについてはお話いただけなかった・・・

ジンクスを信じていたのも年配の方々で、今やほとんどみなさん知らないところを見ると、もはやチャーハンジンクスは薄れつつあるのではないだろうか。将来新たな面白ジンクスができたときは、またみなさんよろしくお願いいたします。

■取材を終えて

歩き回って、中華街の独特な文化を今更ながら感じられた。文化によってジンクスも当然違うだろうし、世界中のジンクスを集めたら面白いだろうなあ。でも過酷なんだろうなあ・・・と思いました!! 

<取材協力>
横浜大飯店/広東料理 楽園/大珍楼/慶華楼/彩香/永華楼/同発別館/好々亭/翡翠楼/東方飯店/梅蘭/景徳鎮/中華 興昌/長城飯店/海員閣/東光飯店別館/牡丹園/愛群/龍華楼/龍門/彩鳳/四五六菜館/翠鳳/接延/重慶飯店本館/你好/慶福楼/双明楼/千禧/龍江飯店(順不同)

※本記事は2015年1月の「はまれぽ」記事を再掲載したものです。