覚悟を決めた岡崎、コートジボワール戦は「勝たなくてよかった」

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 もう吹っ切れた。日本代表は17日(日本時間18日)、ベースキャンプ地のイトゥで練習を行い、19日のグループリーグ第2戦・ギリシャ戦に向けて調整。練習前にはミーティングも行い、本格的にギリシャ対策に乗り出した。練習後、報道陣の取材に応じたFW岡崎慎司(マインツ)は1-2の逆転負けに終わった14日のコートジボワール戦をあらためて振り返り、ギリシャ戦への決意を口にした。

「コートジボワール戦はチームとして予想外のことがいろんなところであった。その中で先制して、徐々に『1-0でいいやん』という雰囲気がチームに漂ってきて、1-1になったとき、取り返す気力もアイデアもなかった。これがW杯の怖さだと思うし、自分たちのサッカーをやり切る覚悟が足りなかった」

 岡崎が課題として挙げたのが、1-0となってからの試合運びだ。2点目、3点目を狙う意識がチームとして薄く、1点を守り切ろうという姿勢になってしまった。攻撃的な選手である岡崎自身も「守ることだけに集中していた」と言う。直前の親善試合で先制を許す展開が続いたことも要因だろう。失点したくないという気持ちが強すぎた。

 W杯の雰囲気にのまれた部分もあった。4年間、攻撃的なスタイルを追求し、自分たちのサッカーを貫こうと臨んだ大会だったが、その初戦で先制すると、勝利が脳裏をよぎり、意識が守備に傾いた。「勝ちたかったから。守り抜いてでも勝ちたいとなってしまった」。しかし、“付け焼刃”の守備で通用するほど世界は甘くなかった。

「勝たなくてよかったと、正直、今は思っている」とまで岡崎は言う。「あのまま勝っていても、得るものはなかった。攻める気持ち、前へ仕掛ける意識を持ち続けろと教えられた。それはW杯でないと学べない。やっとW杯を経験できたなと、自分では思っている」。南アフリカW杯に続いて2大会連続のW杯出場となった岡崎だが、先発はコートジボワール戦が初めてだった。どこか平常心でいられなかったのも確かだろう。

「チームとして変えちゃいけない部分があった。今までよりも覚悟ができた。やり切る覚悟が」。敗戦を機に開き直ったのは岡崎だけではない。この日の練習ではフィジカルトレーニング中に器具に足を引っかけた岡崎をチームメイトが笑ってイジリ、ザッケローニ監督が背後から“蹴り”を入れるシーンもあった。久々に和やかな雰囲気がグラウンドに広がり、チームは原点に立ち返った。

(取材・文 西山紘平)