米スポーツ誌が現時点での有力候補を特集

 黄金ルーキーが早くも「NO1投手候補」に躍り出た。米国で最も権威のあるスポーツ雑誌スポーツ・イラストレイテッドが、現時点で今季のサイ・ヤング賞を予想する特集記事を掲載。14日のメッツ戦でメジャー初完投初完封を達成し、無傷の6連勝を飾ったヤンキース田中将大投手(25)が、ア・リーグの最有力候補として名前を挙げられている。

 記事では、現時点でのサイ・ヤング賞候補5人を紹介。ア・リーグ部門で、田中の名前が1番目に挙げられている。ここまで8試合で6勝無敗、防御率2・17。米国で評価基準の1つとして重視されているWHIP(1イニングあたりの安打+四死球)0・91、登板試合での平均投球回7・3イニングはリーグトップだ。

 同誌によると、これまで新人でサイ・ヤング賞に輝いたのは1981年のフェルナンド・バレンズエラ(ドジャース)のみ。ア・リーグでは1人もない。ただ、田中は初の完封勝利を達成したメッツ戦の投球で、(候補)リストのトップに名を連ねる価値があることを証明し、同賞に輝くための素晴らしいチャンスを手にしているという。

 ここまで8試合では最低でも6回1/3を投げている。奪三振7を下回ったのは1試合だけ。6試合目までに7本塁打を浴びたものの、直近2試合では許しておらず、18回1/3にわたってホームランを打たれていない状態だ。

 同誌は「田中のスプリットは現在の野球界で最高のボールだ」と宝刀に最上級の評価を与えている。ここまでスプリットでは136球で69回の空振りを奪ったが、スライダーも同様の破壊力を見せており、72球で34回と実に47%の空振り奪取率を記録しているという。

 2番目に名前が挙がったのは昨年のサイ・ヤング賞右腕、マックス・シャーザー(タイガース)。ここまで5勝1敗。防御率2・04、奪三振率(9イニング当たりの三振数)11・2はリーグトップだ。

ダルビッシュらも候補に挙がる

 ただ、田中と同じ試合数にもかかわらず、投球回は5イニング少ない。与四球も田中の「7」に対して「16」と2倍以上となっている。ここまで、サイ・ヤング賞に輝いた昨年よりもいい投球を見せているものの、単純に田中の方が上回っているという。田中はメジャー8試合目で初の完封勝利を飾ったが、シャーザーは173試合で1度もない。これはメジャーリーグ記録だ。

 さらに、3位はスコット・カズミアー(アスレチックス)、4位にはマーク・バーリー(ブルージェイズ)と続く。カズミアーはここまで8試合中6試合でクオリティー・スタートを達成。バーリーも同じだが、4月下旬のレッドソックス戦で6回途中12安打7失点と炎上したことがマイナスポイントだ。カズミアーはWHIP0・97で、バーリーの同1・25も大きく上回っている。

 ともに登板日はチームが7勝1敗と大きく勝ち越しているが、カズミアーは自身に勝ち負けがつかなかった2試合では14イニングで3失点(自責点2)しかしていない。一方で、バーリーはリーグトップの7勝(1敗)、防御率2・04を記録。防御率トップの最大の要因となっているのが、被本塁打の少なさだ。昨年は33試合で24本塁打を浴びたが、今年は8試合で1本しか打たれていない。

 5番手はジョン・レスター(レッドソックス)。ここまで失点のうちで自責点がつかなかったのは7。特に4月22日のヤンキース戦では8失点で自責点3という不運もあった。4勝4敗、防御率2・75となっているが、どちらの数字ももっと良くてもおかしくない。

 同誌はさらに、レンジャーズのダルビッシュ有、アスレチックスのソニー・グレイ、ジェシー・チャベス、ロイヤルズのヨーダノ・ベンチュラも候補としている。並み居る好投手を抑えて田中が投手最高の栄誉を手に出来るのか。シーズン開幕からまだ1ヶ月半だが、ルーキー右腕に対する評価はすでに絶大なものとなっている。

フルカウント編集部●文 text by Full-Count