めっちゃカワイイ雪女がいた!
彼女と出会ったのは1年前。越後湯沢の雪山だった。
僕は、一人なのに女子とデート写真を撮影するのが趣味の男、地主恵亮だ。


こんな風にカツラと撮影すれば、彼女がいなくてもデート写真が撮れる。





右手が僕の彼女だ。こうすれば一人でも淋しくない。
アイスの『パピコ』も右手とはんぶんこできる。

そんなある日、『パピコ ホワイトサワー』がキャラクターを募集していることを知った。自分の描いたイラストが採用されれば、製品パッケージになるという。

僕は、彼女(カツラ)を絵に描いてコンテストに応募しようと思った。

真っ白なホワイトサワー味を表現するため「雪女」をモチーフにするのだ。
イラストの資料として、まずは雪山で撮影してみようと思った。
そうして向かった越後湯沢の雪山で、僕は彼女と写真を撮り始めた。



こんな風にカメラを置いて撮影する。三脚を使っても便利だ。


子どもはデートの天敵だ。大人は目を逸らすことも多いが、子どもは真実を見抜く目でまっすぐ見つめてくる。そんな子ども達の目線を逃れて、僕は彼女(カツラ)と山の奥深く入っていった。

しかし、山奥に入りすぎて帰り道を見失ってしまった。あたりが暮れだし、体が冷えてもうだめかと思ったとき、彼女に出会ったのだ。

「あなたも道に迷ったんですね」
彼女も道に迷ったのだという。彼女のカラダは氷のように冷えきっていた。他に暖める方法もなく、抱きしめて彼女を暖めているうちに意気投合し、明け方には付き合うことになった。

なぜか彼女は「雪山で会ったことを誰かに話したら殺しちゃうぞ!」という。照れているのだろう。彼女はユキエ(雪枝)という。それからはいつも二人で過ごした。




彼女はなぜか、南国でも冬着だった。




やがて子どもが生まれた。


そんな幸せなある日、ユキエと外出していると、ばったり友人に出会った。
「久しぶり、俺の嫁を紹介するよ」




「おいふざけんなよ。カツラじゃねーか」

「ユキエエエエエエ!」

「妄想もいいかげんにしろ!彼女がいない現実を見ろ弱虫!」
「現実に、彼女とは越後湯沢の山奥で出会った!」

「前にスキー場で遭難したときの事か?
倒れていたお前が発見されたとき、一人やったぞ」

「どういうことだ?ユキエ!」


「会った時のこと、誰かに話したら殺すって言ったよね!」


「みんなの話を信じたら、あなたも私が見えなくなる。
そうなるのが嫌だから、好きだから、誰にも言わないでってお願いしたのに。」

「子どもは残していきます。どうか私だと思って大切に育ててください」
「ユキエエエエエ!」

こうして雪女は見えなくなってしまいました。

それから地主さんは、ユキエに似た髪形のカツラと過ごすようになりました。






最近では、一人で子どもと一緒にいる写真を撮れるようになったそうです。




日本の各地には様々な雪女伝説があり、そのストーリもそれぞれ違っています。
その中にはもしかしたら、今回のようなツンデレな雪女もいるかもしれません。

この物語は、グリコ『パピコ ホワイトサワー』とのコラボでお送りしました。

※大阪のグリコ本社にて。「いかがですか、このツンデレな雪女をパピコのイメージキャラクターにするのは。妖怪とアイスがばっちりマッチしています。」

とグリコに提案したのだが、「彼女がいなくて発狂というのはちょっと…。もう少し爽やかなイメージなんです。ボツです」ということだった。確かにイラストを見ると爽やかだ。

これなら、雪女役の桃瀬美咲さんを、そのまま撮影して物語を作った方が良かった。

グリコ『パピコ ホワイトサワー』のデザインコンテストは現在募集中だ。
今回はボツとなったが、めげずに違う妖怪でチャレンジしてみようと思う。
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■関連リンク
グリコ 『白沢パピ子』デザインコンテスト WEBサイト



※出演:桃瀬美咲、地主恵亮(デイリーポータルZ)、葵ゆりか、田中いちえ フェイスペイント:ちょうひかる 撮影:松葉理 衣装:市原昌顕 ヘアメイク:山崎眞衣 企画・文章:谷口マサト