高精細ディスプレイ採用Ultrabook登場 ディスプレイ高精細化の波がUltrabookに到来【デジ通】


スマートフォンやタブレットでは、肉眼で各ピクセルが認識できないほど細かい画素ピッチの液晶パネルを搭載することが当たり前になった。AppleはこうしたディスプレイをRetina(網膜)ディスプレイと呼んで差別化し、iPhoneやiPadに加え、MacBook Proで対応モデルをリリースして差別化を図っている。

当然、これに対抗するべくAndroidでもスマートフォンやタブレットに高精細液晶パネルを搭載している製品が多数登場している。さらに、GoogleのChorme OSを搭載した、Chromebook Pixelも登場したが、Windows系ノートパソコンの高精細液晶パネル搭載は基本的にフルHDまでで、他のプラットフォームに対して遅れているのが現状だ。

しかし、東芝が高精細液晶パネル搭載のUltrabookのdynabook KIRA V832を発表したことで、Windowsでもディスプレイの高精細化が始まろうとしている。現在、日本などの先進国で販売されているスマートフォンのほとんどには高精細液晶パネルが搭載されているし、10インチ程度のiPadなどのタブレットでも高精細液晶パネルの搭載は一般的になりつつある。2万円程度で販売されているNexus 7などの7インチタブレットは価格重視ながらも比較的高精細の液晶パネルを搭載している。

1インチあたりのピクセル数を表す画素ピッチ(ppi)では、iPadは260ppi、Nexus 7は216ppi。iPhoneやAndroidスマートフォンは300から400ppi程度になっている。この数字が大きければ大きいほど、各ピクセルが細かくなり、より高精細な表示となる。

話をもっと簡単にするなら1インチ四方の中にピクセルが何個入っているかということだ。10個より100個、100個より200個、200個より400個入っているとしたらピクセルのサイズは増えるにつれて小さくなる。つまりそれだけ細かな表現が可能になるから高精細になるというわけだ。点だけで絵を描く点描画みたいだと思えばいい、より点を小さくそして多く打つことでより精細さが増すのと同じ理屈だ。

一方で、ノートパソコンは100から130ppi程度の画素ピッチしかない。本体価格がスマートフォンやタブレットの数倍もするのに画面表示性能自体は以前からほとんど変わっていないのだ。元々、PCの世界での高精細ディスプレイを出したとしてもOSが対応していなかったためOSのデスクトップやメニュー表示等がおかしくなってしまうということがあり、そのまま放置されていたという経緯もある。

iPhoneで実質的に高精細液晶を本格的に普及させるきっかけとなったAppleは、2012年にハイエンドノートパソコンMacBook Proで15.4インチで2880×1800ドットの220ppi。さらに、13.3インチで2560×1600の227ppiを搭載した製品も投入している。

WindowsではフルHDの1920×1080ドット、1920×1200ドットと搭載した製品はいくつかあるが、普及価格帯の製品では1366×768ドットという従来と変わらない解像度が主流だ。スマートフォンの数倍の画面サイズで価格も数倍なのに、画素数はスマートフォンと同等という状態だった。ただOSが対応していなかっただけで、Windows 8からは、1920×1080ドット以上の解像度もサポートするようになったためMacBook Proと同レベルの高解像度に対応できるようになった。

今回発表された東芝の「dynabook KIRA V832」は、13.3インチの液晶に、2560×1440ドットの画面解像度で221ppiの液晶パネルを搭載している。2560×1440ドットはWide Quad High Definition(WQHD)とも言われており、1280×720ドットの4倍の解像度となり、業務向けの27型などのデスクトップパソコン用ディスプレイではサポートされる解像度だ。

今回、そんな高級ディスプレイと同等の画面解像度を持ったのだから、値段も結構するのかと思いきや価格はおよそ17万円からと、高精細液晶パネルやタッチ対応などの付加価値が付いているのに標準解像度のモデルと彼べて2割ほど高い価格に抑えられている。Ultrabookの購入を画面解像度に対する不満であきらめていたというような人には、購入候補としておススメしたい。

dynabook KIRA V832
東芝

上倉賢 @kamikura [digi2(デジ通)]

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