担当M(以下M):少し前の話になりますが、日本代表がヨーロッパ遠征でフランスに勝利し、ブラジルには大敗しました。この試合をどう見ましたか? まずはフランス戦から。
 
ラモス(以下R):勝ったことはうれしいですよ。引き分けに持ち込もうとしたんだろうけど、最後うまくカウンターのチャンスを生かせてよかった。でも試合内容はどうだったかな。選手はフランスとの差を強く感じたでしょうね。フランスにしても、新しい選手を試したり、どんどん選手を入れ替えたりしてテストの意味が大きかった。日本を舐めてたよ。だから日本は勝利したことを喜んでも、ちゃんと相手とのギャップを考えなければいけないでしょうね。
 
M:今野泰幸選手がカウンターでドリブルしているとき、相手のセンターバックは途中で諦めて走りませんでしたよね。
 
R:そうそう。ああいうのはタイトルがかかった試合だったらないだろうし、そういう部分も割り引いて考えないとダメでしょう。
 
M:続いてブラジル戦ですが、圧倒的な力の差を見せつけられました。
 
R:オープンな試合をしていてはまだ勝ち目はないですよ。フランスに比べるとブラジルは個人技がありました。それに最初、ブラジルが引いてきたから日本は勘違いした。フランス戦のときは「これはやられるかも」と思ったでしょうが、たぶんブラジル戦の試合開始直後は「これはやれるかも」と考えちゃったでしょうね。どんどんおびき出されてしまって、そこで日本が崩壊したと思います。
 
M:ザッケローニ監督の采配についてはいかがですか。
 
R:せっかくのチャンスだったから、もっといろんなチャレンジをしてほしかったと思います。3-4-3にして点を取りに行ってもよかっただろうし、宮市(亮)をもっと早く投入してネイマールの後ろを脅かしてもよかった。それにブラジルのセンターバックはあまり上がってこないタイプだったので、2トップもやってみればよかったのに。(佐藤)寿人をせっかく連れて行ったのだから、どうして使わなかったかな。4-2-3-1のシステムに固執し過ぎているように見えましたね。
 
M:香川真司選手、清武弘嗣選手、乾貴士選手の3人が揃ったときの中盤はどうですか。
 
R:3人とも中央に寄りすぎてしまって、プレーエリアが狭くなっていたと思います。それだったら清武か乾をFWに押し上げて、中盤をボックスにしてサイドバックの攻撃参加をもっと誘発してもよかった。
 
M:いろいろな策を取れるチャンスでした。
 
R:そうなんですよ。それを生かし切れなかったと僕は思いますね。