イチローは17日、敵地のインディアンス戦で今季初の6打数ノーヒット。昨年の5月に2割1分と自身最低の月間打率となったが、今季も5月の月間打率は2割5分と落ち込んできた。特に3番打者としてチャンスでの凡退が続き、8日のタイガース戦で右前タイムリーを打った後、走者二塁以上のチャンスに12打席連続ノーヒット(1四球)。渡米11年目で連続3割が途切れた昨年でも、得点圏では3割2厘を残したが、今季は1割7分1厘(41打数7安打)。勝負強かった男の面影はない。延長11回逆転サヨナラ負けで4連敗。首位レンジャーズとの差が8・5ゲームと引き離される一方のウェッジ監督はイチローについて「(打席で)もっといい仕事をしなければいけない」と開幕から「3番」に固定しているが、厳しい注文をつけた。

 しかし、私はエリック・ウェッジ監督にも「イチローを適度に休ませろ」と進言したい。今年、マリナーズで開幕から40試合フル出場しているのは10月に39歳を迎えるイチローただ一人。それもDH出場は1度もなく右翼を守り続けている。1歳年下のデレク・ジーター(ヤンキース)は、リーグ2位の打率3割6分3厘をマークしているが、ヤ軍のジョー・ジラルディ監督は休養させたのは1試合。しかし、守備の負担を減らすために遊撃手ではなくDH起用が6試合もあるなど、疲労が蓄積しないよう心がけている。

 昨年6月10日のタイガース戦、ウェッジ監督は14打席連続ノーヒット中だったイチローを開幕64試合目にして初めて休養させた。「チームとイチローのために休養させた」。指揮官の読み通り、復帰後は6試合連続複数安打を含む11試合連続安打と極度の不振から持ち直した。DHも休養前は3度だけから、その後は7度と体調を気遣った。

今季はチーム事情もある。右投手先発時に4番または5番に座るカイル・シーガーが3割7分5厘(32打数12安打)をマークしているものの、マリナーズ全体の走者得点圏打率はリーグ13位の2割1分7厘。イチローだけがチャンスで打てないのではない。守備の動きはまだまだ軽快ながら、打席では打たされている感のあるチーム最年長。まだ13日間も続く20連戦のまっただ中、リフレッシュさせるためにもイチローを休ませるのも監督の仕事のはずではないだろうか。
(5月17日のインディアンス―マリナーズ戦より)