大きく人生が好転するとき、そのきっかけには何かしらの“気づき”があるものです。
 では成功者となった人たちは、どんなきっかけで、何に気づき、そして世界の見え方が変わったのでしょうか。
 日本における自己啓発の第一人者であるクリス岡崎さんは新刊JPで配信中の連載対談「一瞬で人生を変える パラダイムシフト・インタビュー」でリアル『ドラゴン桜』として有名な泉忠司さんの“気づき”を聞きだしています。

 高校時代、問題児となり偏差値30にまで落ち込んだ泉さんは、わずか半年で全国模擬試験1位を獲得します。では、どうしてそんなことが可能だったのか? 泉さんの“気づき”の1つを対談の中からご紹介します。

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泉忠司さん(以下、泉)「(高校時代、偏差値30の段階から)勉強をし始めて3ヶ月もすれば多少マシになるんです。だから、僕は全国レベルで勝負してみたいと思っていました。でも、敵の強さが分からないんです。周りにいないので」(泉さんは香川県の県立高校に通っていた)

クリス岡崎さん(以下、岡)「地元しか分からないですからね」

泉「学校の中でどれだけ勉強ができるようになっても、ライバルがどこにいるのか分からなかったんです。そこで、模擬試験を自宅受験してみて、自分の高校の各科目のトップがそれぞれ受検してみたら全国ではどれくらいの位置になるだろうかと試してみたんですよ。英語は僕がやり、国語はその教科のトップがやり…というふうに。時間やルールは同じで、受けている人が違うというだけの状態で、送ってみたんです。これでどのくらいなんだと。そうしたら全国1位だったんです。これを見た時に、灘とか開成とかすごい高校いっぱいあるけれど、たいしたことないじゃないかと。うちの高校の各科目のトップが集まれば…」

岡「1位になっちゃうと」

泉「1位になっちゃう。ということは、国語では目の前にいるこいつに勝てばいいんだと、簡単にイメージできるじゃないですか」

岡「つまりライバルが日本全国のどことも知れない誰かではなく、目の前の人になったと」

泉「それでまた3ヶ月勉強して、彼らより自分が勝ったなと思った状況で、予告したんですよ。俺全国1位取るからと。予告ホームランですね」

岡「何かをするときに、モチベーションって2種類あるんです。ひとつは何が何でもやり遂げるという強い意志。もうひとつはたいしたことないんじゃないか、俺でもできるんじゃないかと思ったときにできてしまうもの。泉さんのモチベーションは後者ですね。気づいてしまったという。あと3000人抜くにはどうしたらいいということではなく、5人になって、一人一人の実力が見える状況になったら、分かるようになった。これは大きな気付きですね。そうなったら、もうあとは勉強すればいいじゃない、と。でも、『こいつらに勝つ』というのも大変じゃなかったですか?」

泉「いろいろ工夫しますよね。その辺が本物の『ドラゴン桜』と言われる所以ですが、僕が勉強を始めたのは高校2年生の秋だったので、時間がないのが分かっていて、100のことを100で覚えようとするのではなく、いかに1で済ますかを考え始めるんです」

岡「ふつうは1じゃなくて、20ですよ、そこ」

泉「全然できなくて、偏差値30だったのが良かったんですよ。疑問しかないんです。やることなすこと」

岡「全部分からない」

泉「意味が分からないことだらけ。たとえば英語で不定詞はto+動詞の原型ですが、僕は不思議でならなかったんです。なんでtoなんだ、と。そのうちに、自分の中で『こういう理由でtoをつけるんだ、だからこういうときにはtoをつけなきゃいけないんだ』と、ストンと落ちたんですよね。そうしたら、カッコ抜きの問題で、toを入れたくてしょうがなくなったんです。そうしているうちに、解決しました」

岡「素晴らしいですね。できるようになるには最短でどうしたらいいかという方法ですね。その気付きで勉強を工夫して、全国模試1位取るぞと言って、実際に取ってしまった。さらに、その高校生はその後、ベストセラー作家となって何百万部も売り上げるという状態になります。これは模試1位より難易度が高いと思うんですけども、そちらとも繋がってくるんでしょうか」

泉「繋がります。方法論が同じなんですよ。人間の活動は全部繋がっているんだと気づいたのは大学3年生のときです」

岡「何があったのですか?」

泉「大学の課題で英文学のレポートを書いていたんです。そうしたらふと気づいたんですね。自分がいま書いている文章の方法や頭の働かせ方は、数学の図形の合同を証明したときと同じじゃないか、と。高校生の時に、確かに偏差値上げるために勉強やりましたけど、やっぱり分からなかったのは、なぜ図形の証明をしなきゃいけないの、二次関数解かなきゃいけないの、ということです」

岡「たぶん今でも皆、分かっていないでやっていると思いますけどね」

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 対談ではこのほかにも、「人間の活動はすべて繋がっていること」「人間の欲は際限がない」などの“気づき”を泉さんは述べています。
 作家、俳優、脚本家、演出家、デザイナーなど幅広い分野で活躍する泉忠司さんは、紆余曲折の中で自ら“気づき”、そして行動した結果、今の成功を収めました。皆さんは、自分の人生の中でどんな“気づき”がありましたか?
(新刊JP編集部)

■マルチに活躍する泉忠司さんの“気づき”とは?
「一瞬で人生を変える パラダイムシフト・インタビュー」

http://www.sinkan.jp/special/chris_okazaki/index.html