MLB、NPB両方で、イチローが歴代ベスト10に入っている記録を見つけた。それは「敬遠=故意四球 Intentional Bases on Balls=IBB」の記録である。MLB、通算IBB数が歴代150位以内に入っている選手について、1シーズンあたりのIBB数を割り出した。そのベスト30。通算本塁打数、さらに1シーズンあたりの本塁打数も入れた。

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いろいろなことが見えてくる。おそらくは21世紀初頭のステロイドを伴う本塁打狂想曲の時代を経て、敬遠が有効な手法だと認識されたと思われる。引退したバリー・ボンズも含めてこの時期以降の新しい選手が軒並み上位に来ている。それまではハンク・アーロンがIBB率ではトップだったのだ。

歴代7位のイチローは、本塁打を年間8.64本しか打たないのに敬遠数は年間15.27。相手チーム、投手は当然ながら本塁打を恐れているのではない。得点圏に走者を置くときに、どんな形であれイチローは走者をかえす可能性が高いと恐れられているのだ。イチローの生涯得点圏打率は.333と生涯打率より少しだけ高いだけだが、それでも十分に高率だ。

イチローだけではなく敬遠数が多い打者は弱体打線の主軸であることが多い。この打者さえ歩かせれば、あとは怖くないという心理が故意四球を生む。ニューヨーク・ヤンキース=NYYのアレックス・ロドリゲスのIBB数は88個。年平均すれば4.89個に過ぎない。たとえ敬遠しても次打者に打たれる恐れがあれば捕手が立ち上がるケースは少ないのだ。

イチローに似たタイプでIBBが多いのが、トニー・グゥインとウェード・ボッグス。グゥインは、サンディエゴ・パドレス一筋。一発はないが弱い打線の中心打者だった。ボッグスは強力なボストン・レッドソックス=BOS、NYYの中軸だった時代が長いが、87年から92年まで6年連続でIBB王。2死からの得点圏打率が.350近いことから恐れられていたのかもしれない。

安打製造機も、本塁打者と同等に投手から恐れられることがある。しかし、それはとびぬけた存在であることが条件だ。

稿を改めてNPBのIBBについて見てみる。