ホークスの「新査定制度」に反発「誠意が感じられない」とFA宣言し国内移籍を目指す福岡ソフトバンクホークス杉内俊哉31歳。

競合相手はなくジャイアンツ移籍かホークス残留かの二択となっているという。

先日ジャイアンツと交渉し4年総額20億という条件を引き出したとされる。

しかも、杉内が望む年俸に変動のない固定性。

これだけでも、ジャイアンツにとっては、破格の条件を提示したといえるだろう。

福岡県出身、鹿児島実業を卒業後、九州の社会人三菱重工を経て当時の福岡ダイエーホークスに入団という経歴で九州に強いこだわりを持つ選手といっても良いだろう。

ドラフト3巡目での入団だったが、この時も、ダイエー以外は社会人残留と強いダイエー志望で入団だったように記憶している。

当時のドラフトは、大学生・社会人の選手には自由獲得枠というものがあり、各球団が杉内に自由枠での入団を打診した。

しかし、杉内は頑なに拒否。

この年は夏の甲子園で宮崎日南学園の寺原というスターが誕生し、当時のホークスもその寺原を指名、抽選の結果、交渉権を獲得し1位で寺原がホークスに入団し、自由獲得枠候補であったはずの杉内は3巡目での入団となっている。

職業選択の自由という建前の元、自由獲得枠という制度があった当時のドラフト。

自由獲得枠を使用した球団は、ドラフト1巡目指名への参加権はない。

高校生の寺原入札の為には、自由獲得枠は使えないという条件の下、指名順位を下げてでもホークスに入団したいという、ドラフト制度を無意味なものにしてしまう入団を押し切った形でのホークス杉内誕生だった。

今思えば、そういう入団を許したことが、杉内投手をここまで”わがまま””強欲”にしてしまったのではないだろうか。

厳しい言い方をすれば制度を無視して希望する球団にごり押しで入団したのである。

福岡出身、高校・社会人も九州で過ごし、そして福岡のチームに入団したいという希望を持つのは、地元への想いが相当強いとも取れるが、環境が変わることへの不安、もっと言えば親離れできない駄々っ子とも見える。

そこまでして入団した球団に「誠意が感じられない」という言葉を残して、移籍を口にする。

プロの世界に入ってみなければわからないことはたくさんあるだろう。

希望枠や自由枠で入団した選手には、それなりのペナルティを課して、FAの期間を長くしたりなどの措置も取られたが、杉内にはそんなペナルティすらなく、権利を行使できる。

そして、FA権を取得し、移籍を目指す。

その交渉でジャイアンツに突きつけたのが、「終身雇用」

「福岡に残りたいところを移籍してやるんだからそれくらいの覚悟で獲得に乗り出せ」と言わんばかり条件提示である。

これまで、MVP・沢村賞・最多勝・ベストナインなど数々のタイトルを獲得し、実績という面では抜群のものを残してきたという自負はあるだろう。

これだけの成績を残してのFA宣言、本来ならもっと多くの球団の争奪戦になっても不思議ではない選手にもかかわらず、手を挙げたのはジャイアンツのみ。

相手が悪いと手を下ろした球団もあるだろうが、契約交渉で球団ともめる選手は敬遠されることも多い。

杉内の要求に応えられる球団は、12球団にいくつもあるわけではない。

勝利が宿命付けられ、補強費には上限はないのかと思わせるほどの実績があるジャイアンツしか手が出せないというのがホークスを含め11球団の共通した認識ではないだろうか。

4年20億を固定という条件では事足りず、さらにその後の契約にまで条件をつける。

怪我したら終わり、リスクの高い職業であるプロ野球選手、怪我をした場合や引退後のことは常に頭から離れないかもしれない。