オリンパス、大王製紙、そして東京電力−−。このお騒がせ“御三家”の揃い踏みが、日本経済をドン底に追い込みかねない。そんな怪しい雲行きである。

 個人投資家の市場離れが進む中、いまや外国人投資家は日本株売買の7割を占める。もしもこの大スポンサー勢が、日本企業の閉鎖的で異質な態度に危険を感じて手を引くようなことになれば、市場はパニック的な売り一色に染まる。結果、平均株価の8000円割れどころか、7000円割れさえ視野に入って“ニッポン”経済は深刻な事態に陥る。世界は今、ギリシャを震源地とする経済危機の到来を懸念しているが、ことによると日本発の「世界恐慌」がにわかに現実味を増してくる、との見立てである。

 折も折、東京証券取引所の斉藤惇社長は10月28日の定例記者会見でオリンパスの問題に言及。「日本企業はガバナンス(統制能力)が欠けていると欧州の投資家から厳しく言われた」と苦言を呈し、続けて東証1部、2部やマザーズに上場する企業に対し、社内のコンプライアンス(法令順守)体制の再確認を徹底するように要請した。
 斉藤社長といえば以前から「リーダーシップに問題がある」と陰口を叩かれてきた御仁。その斉藤社長でさえ、欧州の機関投資家が募らせる日本的経営への不信の念はハンパじゃないと公言したこと自体、極めて異例なことだ。
 オリンパス=企業買収に絡む不透明な金の支払い、大王製紙=創業一族の経営トップ自らが子会社からの巨額な資金流用と、常識では考えられないマネースキャンダルに直撃されていることから、「他の企業も同じような問題を抱えているのでは」との疑心暗鬼が広がっている。東証がすべての上場会社に法令順守の徹底を求めたのは、「これで何社かが追随したら、もうアウトだ」との危機感の裏返しに他ならない。

 だからこそ斉藤社長は前述の定例会見で、オリンパスが過去の企業買収を調査する第三者委員会を設置したことに対し、「意図的に自分たちに有利な委員ばかりを選べば株主代表訴訟になる可能性がある」と釘をさし、経営陣を牽制するのを忘れなかった。このことについて、市場関係者が心中を明かす。
 「斉藤社長がそこまで強く牽制したのは、『誠意を示さなければ、オリンパスを上場廃止に直結しかねない監理銘柄に指定するぞ』、との意思表示と理解すれば話が早い。それどころか、ただでさえ目立ちたがり屋として知られる斉藤社長のこと、例えオリンパスが従順なポーズを見せたところで“世間受けを狙って”上場廃止にするのは規定路線じゃないのか、との穿った見方さえ囁かれています」