■ 大阪ダービー

リーグ戦の開幕戦、ACLのラウンド16に続いて、今年、3度目となる大阪ダービー。今回は、C大阪のホームの長居スタジアムで開催された。ホームのC大阪は6勝7敗6分けで勝ち点「24」。対するアウェーのG大阪は12勝4敗3分けで勝ち点「39」となっている。

C大阪は「4-2-3-1」。GKキム・ジンヒョン。DF酒本、茂庭、上本、丸橋。MF中後、マルチネス、倉田、キム・ボギョン、清武。FW小松。新外国人のFWファビオ・ロペスは初のベンチ入り。FC東京からレンタル移籍のMF大竹はベンチには入らなかった。

対するアウェーのG大阪は「4-2-2-2」。GK藤ヶ谷。DF加地、中澤、山口、下平。MF明神、遠藤、武井、MFキム・スンヨン。FWイ・グノ、ラフィーニャ。MF二川は欠場となった。

■ 1対1のドロー

試合の序盤はG大阪が圧倒する。トップのFWラフィーニャを起点に中央を崩していって、何度もC大阪ゴールに迫っていく。しかし、前半30分過ぎに、MFキム・スンヨンが負傷交代するアクシデントが発生。FW平井を投入するが、FW平井が流れに乗りきれず、攻撃がパワーダウンしてしまう。前半の終盤になると、C大阪もボールが持てるようになって、C大阪がリズムよく攻め込むようになる。

0対0で迎えた後半は、立ち上がりはC大阪がペースを握る。後半26分にはFW小松に代えてFWファビオ・ロペスを投入。FWファビオ・ロペスの1トップに変更して変化を加えると、後半31分に待望の先制ゴールが生まれる。3シャドーがうまくボールに絡んで、最後はMF倉田のパスからペナルティエリア内でMFキム・ボギョンが豪快な左足のシュートを決めて先制する。MFキム・ボギョンは今シーズン5ゴール目。

しかし、G大阪もその3分後にセットプレーを獲得すると、二次攻撃で右サイドのMF遠藤にボールが渡る。MF遠藤は右足で高精度のクロスを入れると、フリーになっていたDF中澤がヘディングで決めて同点に追いつく。DF中澤は今シーズンは、早くも5ゴール目。結局、試合は1対1で終了。今シーズンのダービーの成績は、1勝1敗1分けとなっている。

■ 3度目の対決

37172人という大観衆を集めた大阪ダービーは、意地と意地のぶつかり合いとなったが、終わってみれば妥当と思える1対1のスコアで終了した。5月に行われたACLのラウンド16で。まさかの敗戦を喫したG大阪側のモチベーションが非常に高く、序盤は攻め込んだ。したがって、C大阪は立ち上がりから防戦一方となったが、GKキム・ジンヒョンの活躍等、守備陣が踏ん張ってG大阪側に先制ゴールが生まれなかったことが、試合のポイントの1つとなった。また、FWラフィーニャやFWイ・グノとうまく絡んでいた韓国人のMFキム・スンヨンが前半32分で負傷のため交代した影響も大きく、代わりに入ったFW平井がほとんど攻撃に絡めずに、持ち味を出し切れなかった。この交代は、G大阪にとっては痛かった。

■ MF遠藤は同点アシスト

この試合は、日本代表の日韓戦でも活躍したMF遠藤とMF清武が注目を集めたが、MF遠藤は後半34分のDF中澤の同点ゴールをアシストし、代表の貫録を見せた。ゴール前の高さに関しては、G大阪はそれほど背の高い選手がいないでの、ピンポイントで合わせないとシュートまで持っていけないが、さすがの精度でピタリとターゲットのDF中澤の頭にボールを送った。

MF遠藤は、先日も「体調不良か?」という報道があって、体調面の心配をされたばかりである。毎年、リーグ戦、ACL、代表戦を並行して戦っていて超過密日程になっているが、今年は、特に、震災の影響でリーグ戦は休みなしで日程が組まれている。西野監督は大事に起用しているが、G大阪でも、代表でも欠かせない存在なので、体調面にはくれぐれも注意してもらいたいところである。

■ FWファビオ・ロペスは初出場

一方のC大阪は、後半31分にMFキム・ボギョンのゴールで先制したが、3分後にセットプレーからゴールを許してドロー。久々となる「リーグ戦でのダービー勝利」はならなかった。

FWホドリゴ・ピンパォンに代わって入団した新外国人のFWファビオ・ロペスは後半26分からプレー。MF登録であり、トップ下が得意な選手である、という情報が入っていたが、FW小松と代わって登場したので、そのまま1トップでプレーした。

短いプレー時間だったので、はっきりとは分からないが、体の線も細くて、ガツガツ行くタイプのようには見えなかった。C大阪の1トップには、2列目の3人を生かすことのできる選手がふさわしいが、FWファビオ・ロペスはそういうタイプではなさそう。中盤のFWカイオを1トップで起用して成功した例もあるが、1トップとしては厳しいのでは?という第一印象を持った。

■ MF清武は先制ゴールの起点

五輪代表で活躍し、日韓戦でフル代表デビューし、一気に注目を集める存在となったMF清武は、攻撃的MFでスタメン出場。前半からミスも少なく、まずまずのプレーを見せた。MF乾がボーフムに移籍したので、これからは、攻撃陣を引っ張っていかないといけないが、先日の川崎F戦でも1ゴール1アシストの活躍を見せており、問題なく責任を果たすだろう。

楽しみなのは、FC東京から加入してきたMF大竹の存在である。MF乾が抜けたので、今のところ、3シャドーの控えが空席になっているので、チャンスは与えられるだろう。

クルピ監督の下、MF香川、MF乾、MF家長、MF清武、MF倉田、MFキム・ボギョンと、このポジションでプレーしてきた選手は、(一部の選手を除いて、)ブレークしているので、MF大竹も期待大で、どういう変化を見せるか。リーグ戦だけでなく、ACL、ナビスコがあって、秋になるとC大阪も過密日程となるが、期待通りの活躍を見せてくれると、クラブとしてはありがたい。