不可思議な日本の童歌は、恐怖の“都市伝説”の宝庫
子供の頃に遊んだ“童歌”って、よく考えると怖い。「かごめかごめ」「指きりげんまん」など、日本の童謡や童歌は、よく聞いてみると意味不明だったり、恐ろしかったりするものが多いですね。映画『七つまでは神のうち』は「通りゃんせ」の歌詞にまつわる恐怖について描いています。不可思議な事件に巻き込まれていく主人公・繭を演じるのは、雑誌モデルとして活躍する美少女・日南響子。映画デビューにして初主演の彼女は、本作の主題歌も歌っています。監督は、脚本家として多くのホラー作品に携わった三宅隆太。8月20日より、全身に圧迫感を感じるような恐怖劇の幕が開きます。
10年前の事件を機に心を閉ざした繭は、学校にも通わず、教会で祈りを捧げる毎日。ある日、不審なワゴン車の車内に、憔悴した少女が乗っていることに気づく。驚きつつも、そのことを父に告げ車を追跡し少女の救出を試みる。その頃、複数の失踪事件が起きていて――。
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恐怖1:「通りゃんせ」は神隠しの歌!?
本作のタイトル『七つまでは神のうち』は、日本の童歌「通りゃんせ」の歌詞から付けられました。歌詞の中に「この子の七つの お祝いに お札を納めに まいります」という言葉があります。乳幼児死亡率の高かった昔は、子供が7歳まで生きることが難しかったため、無事な成長を願い、宮参りをしていました。そのことを歌詞では表現しています。それを本作では「7歳までは、子供は神様のもので、いつでも天に連れて行かれる(神隠しにあう)」ということを含めて解釈して、このタイトルをつけています。物語も、7歳の女の子が神隠しにあったかのごとく行方不明になってしまうことが核となっています。「通りゃんせ」には、本作のように神隠しの歌として扱われる他にも、人柱、埋蔵金伝説などに関連付けられるなど、様々な解釈があります。この不可思議な歌の本当の意味は何なのでしょう。起源については、三芳野神社(埼玉・川越)、菅原神社(神奈川・小田原)に「発祥の地」としての碑が残されていますが、なぜ2つもあるのでしょう。謎が深まります。恐怖2:市松人形は単純だが最も怖いアイテム
日本の怖い話には、髪の毛が伸びる人形、目から血の涙を流す人形などの様に、よく「人形」が登場します。人形は、その名前の通り“人の形”をしていることから、魂が宿っている様に思えてしまいます。また、その昔、他人に呪いをかけるための呪詛の道具や、人間の身代わりに厄災を引き受けてくれる対象物として使われたこともありますので、何か怨念めいたものも感じてしまいます。その様な理由もあり、和製ホラーでは、よく登場するアイテムとなっています。しかし、よくあるとは言え、やはり怖いものです。時代を越えて霊的な象徴として扱われているだけあり、市松人形の恐怖は単純ですが、強烈です。この映画でも、実際の小学生と同じぐらいの大きさの市松人形が登場しますが、かなり不気味です。恐怖3:一度でも罪を犯したら絶対に逃げられない
この映画には、3人の女の子が登場します。心を閉ざし、学校にも行かずに神に祈る日々を送っている繭。小遣い稼ぎで小学生の従弟の面倒を見る平凡な女子高生の薫。低予算のホラー映画で脇役ばかり演じている新人女優の麗奈。この3人は、ある“共通の罪”を犯してしまったことで、恐怖のドン底に叩き落とされてしまいます。そして、その恐怖からは絶対に逃げられません。改心しようが、神に祈ろうが、泣き叫ぼうが、絶対に…。絶望のラストシーンに注目。この映画にハッピーエンドを期待してはいけません。総評:怨念渦巻く人物関係を把握しよう
まるで謎解き海外ドラマのように、時系列がバラバラに進んでいき、主軸となる目線も次々と変化していくので、物語を把握しづらいかもしれません。主要な「人物」がどこでつながるのか、恐怖が展開する「場所」は何を意味しているのか、常に細かく観察していかなければ、本作の“正解”に辿りつけません。伏線を張り過ぎて、なかなか理解することが大変ですが、ラストまで観て、全てを把握することができていたら、真の恐怖を感じることができるでしょう。・七つまでは神のうち - 作品情報
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絶叫度 ★★★☆☆ 流血度 ★☆☆☆☆ 怪物度 ★☆☆☆☆ 迷宮度 ★★★★★ 現実度 ★★★★☆