先週最終回を迎えた金曜ドラマ『生まれる。』(TBS系)。毎回「出産とは」「家族とは」と考えさせられることが多かったのだが、その最終回は気が抜けたかのような内容だった。

脚本は『ブスの瞳に恋してる』でお馴染み、森三中・大島美幸の夫でもある放送作家の鈴木おさむだ。放送開始直後に「赤ちゃんが出来ることは奇跡」と意気込んでいたほどの意欲作である。

いわゆる高齢出産の話なのだが、わたしたちが当たり前に口にしている「高齢出産」という言葉は、正式名称ではないらしい。そもそも高齢者の出産に特別な呼称はないとのことだ。そのためドラマ内では「高年齢出産」と呼ぶなど、当たり前なようで知らないことをたくさん学ぶことが出来た。

林田愛子(田中美佐子)は夫・新平(三宅裕司)と4人の子どもの6人で仲良く暮らす主婦。ある日、新平が倒れそのまま他界してしまう。その直後に愛子の妊娠が発覚する。一方、出版社に勤める長女・愛美(堀北真希)は「高年齢出産」をテーマとした本で初めてチーフを任される。そんな愛美の取材とリンクさせながら物語は進む。

51歳になる愛子の出産の話だけになるかと思いきや、長男・太一(大倉忠義・関ジャニ∞)が実は養子であったり、次男・浩二(中島健人)の白血病、友人・内田留美(西村知美)の不妊など「命」や「家族」に関わる様々な問題も絡んでいく。特に中盤で、実父に脅される太一の様子は『スマイル』を彷彿とさせ『生まれる。』という前向きなタイトルにそぐわない展開に、見ていることが辛くなった。加えて浩二の白血病再発など、次から次へとヘビーな問題が襲い掛かる。いいことや悪いことが重なることはよくあることだが、こんなにも特異な問題が一家族に立て続けに起きてしまう展開は、少し現実味が薄れてしまった。二家族の話にしても良かったのではないだろうか。そしてこれだけヘビーな問題に直面して、よく母体に悪影響が出なかったと思う。

それらの集大成である最終回の次回予告では、愛子の身体、浩二の病気が一体どうなるのか?とだいぶ煽っていたので、一筋縄ではいかないのではないかとその行方に気が気ではなかった。しかし一番の見どころである出産シーンは放送の前半にあっさり終わり、そのまま浩二の手術も成功と、トントン拍子にことが進んでしまい、それまで積み重ねてきたこのドラマに対する気持ちが一気に離れてしまった。ハッピーエンドだったことが悪いのではない。あまりにもあっさりし過ぎていたのだ。それまで重苦しいシーンが多かったから、最後くらい気楽にという配慮だったのだろうか。それなら愛子の友人である留美の夫がまさかのダイノジ・大地洋輔だったこと、鈴木の妻・大島がゲスト出演したことで充分である。

ほろりと泣かせ、笑わせる力を存分に持っている作家だと知っているからこそ、この最終回の運び方には違和感を覚えた。誰もが「出産」を経て今ここにいる。ただ生まれているのではない。高年齢出産でなくても、それだけの危険を伴っていることや様々な家族のあり方があることを教えられた。それだけに、最後はもっとお涙頂戴になっても良かったのではないだろうか。それだけの価値があるドラマだったからこそ悔やまれて仕方ない。
(TechinsightJapan編集部 洋梨りんご)

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