通天閣の灯、道頓堀のネオンが消える 原発事故長期化で関西でも節電ムード
首都圏は東京電力の原発事故で計画停電や水道水の一時飲用制限など市民生活に多大な影響が出ているが、関西の市民生活には今のところ目立った混乱は起きていない。
東北関東大震災の余波で、大阪市内のスーパーマーケットでも乾電池やミネラルウォーターが一部の店舗で売り切れるなどしたが、ほとんどの店舗でコメやトイレットペーパーなどは、ほぼ平常通り売られており、ガソリンスタンドも営業している。しかし、原発事故の復旧の見通しが立たず、首都圏の計画停電が長期化 するにつれ、関西でも節電ムードなど思わぬ反応が起きている。
「関電の社員が節電呼び掛け」という偽情報
首都圏の計画停電やJR東 日本の運休のニュースが伝わるにつれ、関西電力には「関西でも計画停電が起きるのか」などという問い合わせがあり、関電は「関西で計画停電を行う必要はな い」と回答しているという。震災後、「関電の社員が友人に節電を呼び掛けている」という偽情報に基づくチェーンメールも出回り、関電は躍起になって火消し に努めた。
震災による電車の一部の部品不足から、JR西日本が 2011年4月から環状線や関西線など一部の路線で電車の運転本数を減らすと発表したことも、計画停電を連想させる一因になったらしい。
東電の計画停電を受け、関電や中部電力などは余力分を東電に融通しているが、東日本と西日本の周波数の違いから、関電や中電が東電に融通できる電力は原発1基分に相当する最大100万キロワットに限られている。
関電は地震発生当日の3月11日夕方から東電向けに電力を融通しているが、運転中の火力発電所の出力を上げることなどで十分に対応できている。首都圏は計画停電で駅のエスカレーターが止まり、スーパーやコンビニの店舗内まで照明が部分的に消されるなど、戦時下のような自粛ムードが広がっている。
関西牽引論が真剣に議論される
この影響からか、大阪でもシンボルの通天閣の灯が消えたり、道頓堀の有名なグリコのネオンが消灯されたりするなど節電の気運が高まっている。関西なりに、被災地に連帯したいという心情からの善意の節電ではあるが、電力に余力がある関電のエリアでいくら節電しても、東電に融通できる電力は限られているのだ。
東日本大震災と東電の原発事故で、首都圏や東北地方の経済成長が大幅に落ち込むのは避けられそうにない。その穴埋めをする一番手が関西だ。1995年に経験した阪神大震災の記憶はまだまだ生々しく、今回の震災で当時のことを思い出す人も多いそれだけに、震災や原発事故の影響を直接的には被らなかった関西が、震災復興に必要な物資を率先して生産し、被災地に供給したいという使命感も高まっている。
関西の経済界やエコノミストの間では「大阪を中心に関西が力強く経済成長することが復興を後押しし、日本の経済危機の克服につながる」という関西牽引論が真剣に議論されはじめている。
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