――両方とも大事な存在という点が難しいですよね。福岡を離れようとした信一さんは、小雪さん演じる美智代に思いを伝えようとしなかったのですが、お二人なら大事な人に素直な気持ちを伝えるほうですか?

石田 :僕は、伝えないですね。その時の気持ちによりますけど、今ふっと思ったのは、彼女じゃなければ「言っても仕方がないかなー」と思ってしまうし、言ったら余計寂しくなる。

池松:僕は、結構周りから言われるのは、“The九州人”。福岡の人って本音の部分をあまり言いたがらないというか、言えなかったりする部分があるんです。普段は割とずかずかしているのに、本音の部分になると気持ちを押さえたりする部分があるんですよ。多分、福岡の人達は自分達でもそれをわかっていると思うんです。守には自分が思い描く“The福岡の男”を託したつもりです。

――お二人とも意外と硬派な一面があるようですね!では、ヒロイン役の小雪さんが演じる美智代さんは女性としては魅力的だなと思いますか?

石田 :思います。だからこそ、信さんが美智代さんを大切に思ったんだと思います。

――小雪さんも役柄同様に、すごく魅力的だったようですね。

石田 :はい、すごく優しい方です。僕が現場で風邪気味で体調悪かった時に、風邪薬を届けてくださったり。役同様に体調にも気遣ってくれて、大きな愛で包んでくれました(笑)。

――池松さんは小雪さんと2度目の親子役で、プライベートでもすごく仲良しのようですね。

池松:撮影終わってからだと思ったんですけど、小雪さんから連絡がきて、「おくりびと」を見に行きました。

――映画を見に行ったのですか? 本当にお互いが信頼しあってすごく仲が良いのですね。

池松:そうですね。何年か前は4ヶ月位ずーっと一緒だったので、すごく良くしてくれていて何年か経過してからも、「これやってたもんね」って覚えていてくださっていたりしていました。でも、実は僕の母と小雪さんが仲良しなんです。前の撮影は、小学生の頃だったので現場にうちの母が一緒に来ていて、その時から小雪さんが仲良くしてくれていたんです。信さんの撮影時もそれこそ自宅の近い所でやっていたから来ていたんです。小雪さんに「久しぶりー」と慣れ慣れなしく話しかけに行って噂話をしていました…。

石田 :それ面白い(笑)。

池松:なかなかないですよね。慣れ慣れしいんだよとか思いながら(笑)。

――小雪さんもフレンドリーな感じだったのですね。

池松:そうなんですよ。小雪さんもきちんと答えちゃうから、母も調子に乗っていったみたいです。

――とても和むエピソードありがとうございます(笑)。では、最後にこの映画をこれからご覧になる方にお気に入りのシーンを教えてください。

石田 :お気に入りのシーン、うーん。いっぱいありますね。現場でも「あ、いいシーンだなあ」って思いながらやっていたのは、守と信さんが二人でキャッチボールをしている時に、守が「大事なこと言わないのか?」と問いかけるシーンは、すごくいいと思います。

池松:そうですね、この映画は、言葉にできないものを表現している“映画的な良さ”をもった映画なので、 皆さん是非 劇場に足を運んで、見てもらいたいですね。 街の風景や、空だったり、大地だったり、当時の様子が印象的で、何気ない子供のシーンなんかは、子供が映っているだけなのに、ものすごい存在感で不思議と涙が出てくるんですよね。でも、後々考えると、そういうことも妙に納得できる、そんな映画なんだと思っています。

――どうもありがとうございました!


池松壮亮さんプロフィール
1990年7月9日生まれ、福岡県出身。
2001、劇団四季ミュージカル『ライオンキング』のヤングシンバ役でデビュー。2003年ハリウッド映画『ラストサムライ』飛源役で映画初出演を果たし、以降、映画やドラマを中心に数々の作品に出演。代表作に「鉄人28号」「男たちの大和/YAMATO」「DIVE!!」「半分の月がのぼる空」など。現在「Q10」(日本テレビ系)に出演中。

池松壮亮オフィシャルウェブサイト-公式サイト

石田卓也さんプロフィール
1987年2月10日生まれ、愛知県出身。B型。
2002年"第15回 JUNON SUPERBOY コンテスト"にてフォトジェニック賞を受賞し、芸能界入り。
2005年にTBS開局50周年ドラマ「青春の門-筑豊編-」で主人公に抜擢されデビュー。同年映画デビュー作「蝉しぐれ」で主人公の少年時代を演じ、キネマ旬報新人男優賞を受賞。その後映画を中心に多くの作品に出演。


石田卓也オフィシャルウェブサイト-公式サイト

・スタイリスト:宮本茉莉(Mari MIYAMOTO)
・ヘアメイク:山岸直樹(Naoki YAMAGISHI)

・衣裳協力
GADGET GROW 原宿店
Casper john 原宿

「信さん・炭坑町のセレナーデ」ストーリー
昭和38年、美智代は故郷である福岡の炭坑町に小学生の息子・守とともに帰ってきた。炭坑によって支えられ、男も女も子供たちも貧しくとも明るく肩を寄せ合って暮らす町。
ある日、悪ガキたちに囲まれた守の前に一人の少年が現れ、あざやかに相手を打ち負かし守を救ってくれる。町では知らぬものはいない札付きの少年・信さん。
親を早くに亡くし、親戚にひきとられていた信さんは、いつも疎まれ厄介者のような扱いを受けていた。誰も自分のことなどわかってくれない、そう思ってきた信さんにとって、息子を守ってくれたこの事件を期にやさしく接してくれる美智代は特別な存在になる。
それは母親への愛のようであり、淡い恋心のようであり…。けれど、信さんにもこの炭坑町にも、受け止め乗り越えなければいけない厳しい現実がすぐそばまで忍び寄っていた。

信さん・炭坑町のセレナーデ-公式サイト
11月27日(土)より、新宿ミラノ、銀座シネパトスほか全国ロードショー!

池松壮亮 - タレント情報