マーガレット・マシューズさんは、シカゴ近郊に住む68歳の女性。3年前に夫を亡くしてからは、ずっと一人暮らしを続けています。小柄で物静かな彼女は、ご近所の人たちからも慕われていたそうです。

そんな彼女が先日、12歳の子どもに向かって発砲するという一件が起きました。しかし、そこに至るまでに、彼女は過去1年以上にも及ぶ陰湿な嫌がらせと、身の危険を感じるほどの暴力的な行為を受けていたのです。

米紙シカゴ・トリビューンや米放送局FOXなどによると、今回、発砲を受けて重傷を負った少年と、もう1人の13歳の少年は、以前からマーガレットさんの家の敷地内に侵入しては花壇やバーベキュー用のグリルに火を付けたり、彼女に攻撃的な言葉を投げかけていました。少年たちがなぜ彼女をターゲットに選んだのかはまだ明かされていませんが、なかなか抵抗のできない高齢者を相手に、嫌がらせがどんどんエスカレートしていったのは想像に難くありません。

そして先日、買い物から帰宅した彼女は、家の窓ガラスが割られ、少年たちが逃げて行く現場を目撃。すぐに警察に通報しましたが、再び外の様子を確認するためにドアを開けたところ、そこには堂々と彼らが戻って来ていたのです。

そこで「なぜこんな仕打ちをするのか」と問い詰めると、少年たちはうるさいとばかりに罵声を浴びせ、落ちていたレンガを彼女に向かって投げました。当時の状況をマーガレットさんは、「胸にレンガが当たって、それはもう怖かったのです」と振り返っています。警察が到着する気配はまだなく、命の危険も感じた彼女に残されたのは、“自分の身を自分で守る”という選択でした。

我慢の限界に達した彼女は家から銃を持ち出して発砲し、これが12歳の少年の肩に命中。病院に担ぎ込まれた彼は命に別条はないとのことですが、マーガレットさんに対する暴行容疑で書類送検されました。

少年の一連の悪行は隣人たちも気付いていたため、今回の発砲も正当防衛だと同情的な人がほとんど。警察も「彼女が逮捕される可能性はまずない」と発表しているそうです。