2005年から芸能人14人が自殺 韓国スター「負の連鎖」の真相
韓国芸能界で自殺が相次いでいる。日本でも大ヒットしたドラマ「冬のソナタ」の準主役も務めた人気韓流スター、パク・ヨンハさん(32)の自殺が新たに報じられ、2010年に入り「3人目」となった。スターの相次ぐ自殺には、どんな背景があるのだろうか。
2010年6月30日早朝、俳優で歌手のパク・ヨンハさんが、ソウル市内の自宅で死亡した。聯合ニュース(ウェブ版)などによると、パクさんが携帯電話用充電器のコードで首をくくって死亡しているところを母親が発見した。
今年だけで3人のスターが自殺
パクさんは、6月中旬から日本での全国ツアーを始めていた。数日前に韓国へ戻ったばかりだったという。がんで闘病中の父親の看病疲れが原因では、との報道も流れている。
中央日報(ウェブ版)によると、パクさんの自殺で「今年だけで3人のスターが自殺」した。ほかに、タレントで歌手のチェ・ジニョンさんとモデルのキム・ダウルさんが死亡している。
韓国芸能人の自殺が相次いでいることを取り上げた、中央日報と聯合ニュースの記事を総合すると、2005年の女優イ・ウンジュさんの自殺以来、パクさんを含め14人の芸能人が自殺している。
09年に自殺した若手女優チャン・ジャヨンさんは、死の背景に芸能界の「性接待」があると指摘され関心を集めた。05年のイさんや07年の歌手ユニさん、女優のチョン・ダビンさんらの自殺では、インターネット上の誹謗中傷でうつ病になった、と報じられ、社会的な問題となった。ファンらによる後追い自殺とみられる行動も韓国内で続くなどの影響も出た。
日本国内の芸能人の自殺の状況はどうか。ニュース検索で見る限り、最近では09年の加藤和彦さん(音楽プロデューサー、元「ザ・フォーク・クルセダーズ」)や08年の川田亜子さん(フリーアナウンサー、元TBSアナ)、05年のポール牧さんなどが当時大きく報じられていた。芸能界を引退していた清水由貴子さんの09年の「介護自殺」も伝えられた。こうしてみると、やはり韓国での多さは際だっているとも言えそうだ。
ネットでの評価を重く受け止める傾向
相次ぐ芸能人の自殺は、韓国内ではどう受け止められているのだろうか。日本語向けにエンタメなどの韓国情報を伝えるサイト「イノライフネット」を運営しているソウル市内の編集部に国際電話で取材すると、女性編集部員が次のように答えた。
――05年のイさんの自殺以降、自殺に共感した芸能人が、自身も悩みを抱えた際に自殺してしまうという負の連鎖が起きている厳しい状況だ。小説の主人公が自殺する、ゲーテの「若きウェルテルの悩み」に由来する「ウェルテル効果」(共感による連鎖的な自殺)が働いているという指摘もされている。
「スターたちは華やかな生活を送りながらも、人気の先行きへの不安感などをなかなか家族にも言えなかったり、多忙のため友人との交流が疎遠になったりしがちで、孤独感を深めるケースがあるようです。インターネット上での誹謗の影響もあると言われています」
今回のパクさんの自殺原因についても、看病疲れだけでなく、ネットでの中傷について気にしていた、との情報もあるという。カウンセリング強化などを進める芸能事務所も出てきたが「有効な対応策は見つかっていないのが現状です」。
日本のある芸能リポーターは、韓国芸能界では、日本人が考える以上にネットでの評価を重く受け止める傾向があるようだ、と指摘する。また、儒教の影響もあり家族などへの義務感が強く、多忙な芸能人生活との両立に悩む人も多い。「個人の問題と放置せず、何だかの対策を見出してほしい」とも話している。
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