ニューヨーク・メッツの高橋尚成が土曜日のデトロイト・タイガース戦で3回を投げ無失点と好投した(3月13日付公式HP)。

 高橋は0対0の5回、2番手として登板し、7回には先頭打者にいきなりヒットを許すが、その後の打者を2奪三振を含み、打ち取った。メッツはその裏、デイヴィッド・ライト、ダニエル・マーフィー、ゲイリー・マシューズ・Jr.、ジェイソン・ベイの4本のホームランで9点の大量得点を挙げ、メッツが9対1で勝ち、高橋に2勝目がついた。

 オープン戦デビュー以来無失点を続けている高橋を、アメリカではほとんど無名だが日本では有名な投手だと、3月13日付でニューヨーク・タイムズが紹介した。 

 日本のスポーツテレビ番組が、エンゼルスの松井秀喜と高橋がビデオメッセージを送り合うという企画を立てた。アメリカのファンは、ワールドシリーズMVPの松井と、マイナー契約の高橋という組み合わせを不思議に思うかもしれないが、高橋は松井と元チームメートだった。

 松井は「有名ですよ。ドラフト1位だったし」と通訳を介して述べた。「読売ジャイアンツで3年間一緒だった。ヤンキース時代もオフに帰国したときは、一緒に食事に行ったこともある」

 ところが高橋は、松井とはどれぐらい親しいのかと尋ねた記者に、電話でしゃべったことはないし、食事に行ったこともないと答え「だれですか、松井秀喜って?」と笑って付け加えた。

 高橋はジャイアンツから初年度300万ドル(およそ3億円)3年契約の提示を受けたが、これを蹴ってメジャーに挑戦する道を選んだ。ユーモアのセンスがあるだけでなく、自信満々の豪胆な男でもある。

 松井が新天地でキャンプ入りした頃、高橋は移籍先が未定のまま「どこでもいいから投げられる場所を探してほしい」と代理人に依頼してアリゾナへ飛んだ。

 その後、高橋はメッツとマイナー契約を結んだが、キャンプ開始当初はジェリー・マニュエル監督の先発やブルペン投手の構想には入っていなかった。しかし、初めてのオープン戦で3回を無失点に抑え、5番手投手候補として名乗りを上げた。

 メジャーに昇格するためには、まだまだ実力を証明していかなければならないが、高橋は「後ろは振り返らない」と覚悟を決めている。