トヨタの記者会見に見る社長の孤独【山崎元コラム】
本題に入る前に道草しよう。トヨタ自動車のアクセル・ペダルに始まる不具合とリコールの問題については、トヨタ自身の対応の他にもう一つ興味深い注目点がある。
それは、個々のメディア毎のこの問題に対する報道姿勢の差だ。はっきり言って、トヨタ自動車はメディアにとっての米櫃とも言うべき広告の大スポンサーだ。一昨年来、広告費を大幅に絞り込んだことが報じられているが、それでも国内最大級のスポンサーの一つだし、往時は年間1千億円の広告出稿料を投じていた。
既に問題は大きくなっている。トヨタ自動車が記事の内容によって広告出稿を変えるような、自ら墓穴を掘るような対応はしないだろうが、メディア側の反応のちがいは興味深い。
たとえば、2月5日に行われた豊田章男社長がこの問題ではじめて登場した記者会見を報じる記事も、新聞によって報じ方に差が付いた。全国紙5紙の扱いを見てみよう。
「朝日」は一面トップ扱いで見出しは「トヨタ社長、陳謝」「品質問題『危機的な状況』」、「読売」は一面の目立つ記事で「トヨタ社長が陳謝」「プリウス対応明言せず」と報じた。共に頭を下げる豊田社長のカラー写真付きだ。品質が危機だ、という切り取り方も厳しいし、「プリウス」の名前が「陳謝」の文字と並ぶのもイメージ的には痛い。普通の報じ方だと思うが、トヨタには厳しい紙面だ。
続きはこちら
■関連記事
・“トヨタ黄色信号”はリコール前から点滅!?株価指標でわかる自動車業界の優勝劣敗
・米国人はなぜトヨタを叩くのか?日本人が軽視する不信増幅の本当の理由
・トヨタ、日産も密かに気にする 慶応大学「次世代電気自動車」戦略の実態
・米国から見たトヨタに吹く逆風の正体
・“生産管理の鬼”トヨタも苦戦!自動車メーカー「固定費削減で業績回復」は真実か