【コラム】G.I.ジョーサラリーマンの鉄則!!（5）〜初デートの鉄則の巻〜

G.I. ジョー サラリーマンとは、100年に一度と言われる世界的不景気の世の中を生き残るべく、特別に訓練されたエリート中のエリートビジネスマンのことである。これは、普通サラリーマンの城 剛史青年が、G.I. ジョー サラリーマンになるべく、鷹山先輩の鬼の指導を受け、成長していく物語である。

城 剛史

今年で新卒2年目のごく普通のサラリーマン。特にこれといった特技もないため、この先の身を案じて同じ部署の鷹山先輩から、G.I. ジョー サラリーマンになるための鬼の指導を受けることを決意したところ。寝言は多いほう。

鷹山先輩

社内の数々の記録を更新してきた、自他共に認めるG.I. ジョー サラリーマン。その徹底したワークスタイルから男女を問わず尊敬を受ける社内のカリスマ。また、新人指導の厳しさも有名で、「鬼教官」の異名も持つ。甘いものは苦手。

城：ふぁーー。今日は、浅尾さんとのデートだー。待ち合わせの30分も前に着いちゃったし、手持無沙汰だなー、とりあえず喫茶店にでも入って、最後のイメージトレーニングをしておくかー。

ふー、やっぱり、ソイラテは落ち着くなー。さて、イメージトレーニングだ。えっと、まずは一言目が肝心だぞ、服装を褒めるのでいいのかなー。素敵なワンピースですね！　とかとか。

鷹山先輩：オホン。合席させてもらってもいいかな？

城：あ、はい。って、はうあ！　鷹山先輩っ！？　こんなところにまで！？

鷹山先輩：部下の初デートだぞ！　捨て置くような俺だと思ったのか！

城：いや、そういう話ではなくて、どうやってそういう情報を手に入れているのかと。

鷹山先輩：G.I. ジョー サラリーマンを見くびり過ぎだぞ！

城：あ、はい。なんかすみません！

鷹山先輩：で、どうなんだ。きっちりリサーチは終わっているんだろうな。相手はどんな女子なんだ？　職業は？　趣味は？

城：いや、えーっと、その、職業はぼくと同じ感じですかねー。趣味は、映画鑑賞とかなんとか、ふがふが。

鷹山先輩：ふふん。なるほど、では今日は映画デートという訳か。もちろん『G.I. ジョー』を観るんだろうな？　しかし、そんな程度の情報だけでは、いくら刺激的な映画で盛り上がっても、その次のステップには進めないぞ！

城：あうあー。まあ、それはそうですよねー。でも、デートもしたことのない相手の情報をそんなに仕入れられませんよー！

鷹山先輩：ふ、情けない！　では、俺がプロファイルしてやろう！　ジョーの知ってる限り相手の情報を言ってみろ！

城：えっと、えーっと、新潟県出身で、次女です。

鷹山先輩：ほう？

城：あとは、高校時代はラクロス部だった、そうですよ。確か。

鷹山先輩：んん？　そ、それは。まさか、弟と住んでいて、スコティッシュフォールドを飼ってるんじゃないか！？

城：ええ？　スコティッシュ、なんですか？

鷹山先輩：ネコだ！

城：はい！　あー、もうなんかすみません！　先輩の想像通りなんです！　はい。今日の相手って、浅尾さんなんですよ！

鷹山先輩：は！

城：ごめんなさい！　先週の飲み会の時点で言うべきでした！　なんか言い出せなくって！　怒ってますよね！　ちょっと、今からメールを入れて断ります！

鷹山先輩：ジョー。

城：すみません！

鷹山先輩：お前は本当に、いつになったら、G.I. ジョー サラリーマンのなんたるかを理解するんだ！

城：え！？　これ、なんですか？ 「週に一回は、自宅近くのエスニック料理屋に行ってしまう。最近観て一番興奮した映画は『トランスフォーマー・リベンジ』。好きな花の種類はラナンキュラス。」こ、これって！

鷹山先輩：G.I. ジョー サラリーマンたるもの、どんな時でも部下を応援するものだ！ 　といっても、生意気にも女心を射止めるという点ではお前もいっぱしのG.I. ジョー サラリーマンになったようだがな。

城：で、でも、こんな！　悪いです！

鷹山先輩：ごちゃごちゃ言うんじゃない！　とっとと、待ち合わせ場所に向かうんだ！ 俺に言わせるな！ 初デートの鉄則だ、遅刻は厳禁だぞ！

城：せ、先輩！　うう！　ありがとうございます！　頑張ってきます！　やっぱり、G.I. ジョー サラリーマン って最高にかっこいいです！！　ちょっとストーカーまがいなところもある気がするけど！