公務員の給与その他の労働条件は、民間企業との比較で決められる。この作業は毎年人事院が調査し、民間の給料水準が下がれば、通常は連動して公務員の給与水準も下がる。

昨年来の経済危機による、民間企業のボーナス水準の大幅減少に連動して、公務員のボーナス(期末手当/一時金と呼ばれる)も大幅に下げられる見通しだ。



これには異論もあって、「公務員の給料等は民間企業の指針となるべきものなので、官民比較はまかりならない」という意見が、官公労を中心に出されている。
組合専従職員などはほとんど浮世離れしているので、「最も有効な景気刺激策は公務員のボーナス増額だ」という主張まで飛び出すぐらいだ。

しかし、親方である国の基本方針は「公務員は国民の税金で養ってもらっているのだから、民間水準に合わせるべきだ」ということである。

この官民比較方法は、ラスパイレス方式と呼ばれ、国や自治体の規模に相当する民間企業が給与比較の対象に選ばれる。
多くの納税者が「公務員は仕事内容に比べて給料が高すぎる」とブーイングをするのは、中小企業〜零細企業の現実ではなく、一部の中堅〜大企業の現実と比較して公務員の給料が決められるからである。

そんな公務員も、100年に一度の不況の影響は避けられず、ボーナス大幅減になることは避けられない模様だ。

国民の厳しい視線とは裏腹に、当の公務員たちの多くは平気である。なぜならば、「夫婦公務員」が多いので、可処分所得の額にはさして影響がないのだ。
30歳台の夫婦公務員の年収(二人分)は、概算で1000万円を超える。仮に年収が1割減っても900万円である。生活に影響がないのは当然だ。

公務員にボーナスは要らない」という意見も多いが、官民比較で一定規模以上の企業でボーナスが支給される限り、公務員にもちゃんとボーナスは出る。
問題は「勤務成績の査定がボーナスに反映されずに皆横並びで支給される」ということである。公務員が少々のボーナス減でも平気なのは、この横並び神話が基本にあるのである。

仕事をしてもしなくてももらう金は同じという、横並び神話を解体して、ボーナス支給額に反映させることが必要であろう。何らかの形で「市民の評価」も取り入れることを検討してみるのもよいと思われる。

(編集部 石桁寛二)

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