日本の人気アニメ「ジョジョの奇妙な冒険」の1部にイスラム教への侮辱ととられる場面があるとして、中東で批判が高まっていることが5月21日にわかった。

問題になっているのは、アニメ作品「ジョジョの奇妙な冒険」の中に悪役がイスラム教の聖典コーランを読みながら主人公らの殺害を命じる場面があったことだ。
中東のウェブサイトでこの件による批判がひろがり、300以上のサイトで
「コーランを読めば悪者になるという主旨か。イスラムへの攻撃だ」
といったような書き込みがなされている。

イスラム教スンニ派教学の最高権威機関アズハルの宗教勧告委員長アトラシュ師はこの件につき
「イスラム教に対する侮辱で受け入れられない」と非難している。

事態が伝わった21日には、集英社(原作コミック出版元、アニメ制作主導)では問題となったアニメのDVDや原作コミックの1部を出荷停止する方針を固めた。

ジョジョの奇妙な冒険」は同社の漫画雑誌『週間少年ジャンプ』に1987年から連載開始され、2005年から『ウルトラジャンプ』へと連載が変わったが、今も若者を中心に人気を保っている。
単行本のシリーズ累計は7000万部を超え、2006年には文化庁の「日本のメディア芸術100選」のマンガ部門2位となっている。

芸能人にもファンが多く、お笑いコンビの”スピードワゴン”は同作品の登場人物から名づけたという。
世界各国でも人気があり、中東でもひろがっていたが、宗教的な文化の違いが今回の問題を引き起こしたものだ。
集英社広報室は
「作品の舞台であるエジプトの雰囲気を演出するため(アラビア語の)本を登場させることを考え付き、見つけた資料をコーランと知らず、使ってしまった。イスラム教徒の方に不快な思いをさせ心よりおわびする」
としている。

(編集部:TAKESHI)