4年前のユーロ・ポルトガル大会、イタリア代表のFWトッティが、デンマークMFポールセンに向かって唾を吐いたことを覚えている読者も多いだろう。あの事件はピッチ中央で起こったが、もしペナルティエリア内で同様のケースが起こった場合、どんな罰則が適用されるのだろうか。

“唾吐き行為”はルール上、“相手を故意に蹴る・殴る・頭突きする”等、最も重い種類の反則と同等に見なされる。つまり、PA内で唾吐き行為が認められた場合、審判は吐きかけられた側へPKを与えることができる。“できる”ではなく、“しなければならない”といった方が正しい。

 そして、行為者には退場処分が科せられる。もちろん複数試合の出場停止処分も考えられる。「唾を吐く」という最大級の侮辱行為には、これほど高い代償がつく。
 世界的にみて平均的な教育水準が高い日本にいるとなかなかわかりにくいが、サッカーが生まれた欧州にあっては、こういう不道徳が息づく現実と不敬行為を許さない貴族精神との二律背反が同居しているのである。