「C版」には正しい写真が掲載されていた

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   市民記者によるニュースサイト「PJニュース」が、夕刊フジにかみついている。ベネッセコーポレーション社長が不倫報道で失脚したことを報じる夕刊フジに掲載された写真が社長と別人だったことを指摘したもので、フジも誤りを認めている。ただ、訂正・お詫び記事はなく、夕刊フジ側は「(お詫びを)出さないでもらいたいという依頼が来て止めた」と、不思議な説明をしているという。

   「PJニュース」は、2007年3月8日、「『夕刊フジ』また誤報=ベネッセ前社長の顔写真が別人だった!」という見出しの記事を配信した。見出し中にある「また誤報」とは、07年1月末、ライブドアの社員で構成する「ライブドア・ニュース」の廃止が決まったことを、あたかもPJニュースが廃止されるかのように報じたことを指す。PJニュース側は「捏造」と猛反発、夕刊フジ側が謝罪する形で決着した、という経緯がある。

ベネッセは依頼の「事実なし」

   PJニュースの記事は、夕刊フジが2月23日付け(22日発行)の「AB統合版」に掲載した記事で、ベネッセコーポレーションの森本昌義社長が不倫騒動を受けて辞任に追い込まれたことを報じた際、全く別人の写真を掲載してしまった、という内容。夕刊フジは同ニュースの取材に対してミスを認め、C版では正しい写真に差し替えたことを明らかにしたという。新聞社が人物の写真を間違えるなどのミスをした際には、訂正・お詫び記事を出すことが多いが、今回の件ではそのような記事は出ていない。その経緯について、夕刊フジからは、このような答えが返ってきたのだという。

「お詫び記事を出そうとしたんですが、出さないでもらいたいという依頼が来て止めたんです」

   記事中では、誰が夕刊フジに「出さないでもらいたい」という依頼をしたのかは不明だが、「記事を出さないで欲しい」と発言する可能性が一番高いのは、ベネッセだと考えるのが自然だ。ところが、同社の広報・IR部では、J-CASTニュースの取材に対して、

「そのような(お詫びを出さないように要請したという)事実はありません。そもそも、全然コンタクトは取らせていただいておりません」

と、お詫び記事を出すかどうか以前に、夕刊フジに抗議してすらいない、と話している。

「まぁ、ウソは書いていないと思いますけどね」

   ベネッセでないとしたら、誰が「お詫び記事を出さないで欲しい」と言ったのか。

   夕刊フジ報道部では、J-CASTニュースの取材に対して、

「(PJニュースの)記事では、誰が発言したのかが特定出来ないので、コメントのしようがありません。まぁ、ウソは書いていないと思いますけどね」

   と、事実上、お詫び記事を出さないように依頼する声があったことを認めているが、その声の主については、

「新聞社にとって、お詫びと訂正を出すというのは非常に重要なこと。必要な場合は、お詫びをしています。今回はお詫びを掲載していませんが、そのこと自体が意味を持っています。経緯などについて説明する必要がある場合は、紙面を通じて説明していますし、それ以上のことを社外に対して説明する責任を負っているとは思いません」

と、詳細については明かさなかった。