広瀬すず

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広瀬すず」をデザイン泥棒にした大人の思惑(1/2)

 タレントの商品価値が上がれば上がるほど、そこには“大人の欲望”が絡み出す。そして時には本人が思いも寄らない波紋を広げ……。女優・広瀬すず(20)がデザインしたワンピースにパクリ疑惑が発覚した。絶好調女優を“デザイン泥棒”にした、周囲の思惑は。

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 まずは、掲載の写真の二つのワンピースを見比べていただきたい。似て非なるものだろうか。いや、「これ、同じでしょ」と思わず声が出てしまう向きも少なくないのではなかろうか。

 現在、NHK朝ドラ「なつぞら」にヒロインとして出演中の広瀬。週間平均視聴率も20%を超えるなど絶好調で、「女優」としての評価もうなぎ上りだ。若手女優の筆頭株としての評価はすっかり定着し、新元号に寄せて「令和の顔No.1」との呼び声が高かったのも当然なのである。

広瀬すず

 その広瀬、実は別の一面もあるのは、知る人ぞ知る話。2年前、「earth music&ecology」なるブランドとコラボし、デザイナーデビューしているのだ。

 さるファッション誌の編集者によれば、

「earthは安価でトレンド感のあるブランドで、10〜20代に人気。宮崎あおいを起用したCMでも話題となりました。広瀬さんはここでシーズン毎に新作を6〜7着もデザインし、それが商品化されています」

 この4月末にも今年の春夏ものとして5389円のワンピースを発売したばかりだが、

「この春のブランドCMは是枝裕和さんが監督しました。その話題性もあって売れています。ネットでも店舗でも売り切れ状態となることが多く、手に入れるのが難しいほど」(同)

 と言うから、本業だけでなく“余技”でも新境地を開いた、というところか。彼女の勢いを改めて物語る話である。

広瀬すずデザインのワンピース(earth music&ecologyの公式通販サイトより)

 ところが、だ。

 好事魔多し。この新作を巡って、

「まるで“パクリ”じゃないか、との声が上がっているんです」

 と、ファッションウォッチャーが言う。あの面立ちにパクリなんて言葉は似つかわしくないが、頭から否定せずにもう少し説明を聞いてみよう。

「“被害者”とされるのは、『EZUMi(エズミ)』というブランド。若手デザイナーの江角泰俊さんが手掛け、特にファッション感度の高い層から評価されている。桐谷美玲さんがプライベートで愛用していることでも名高いですが、ここがこの春夏商品として出したワンピースのデザインにそっくりとの声があるんです」

“被害者”とされる「EZUMi」のワンピース(EZUMi公式オンラインサイトより)

 それが前掲の写真というワケだが、確かにその印象は濃く映る。

 両者ともシンプルなロングワンピースだが、腰の上あたりのスリットからプリーツ(折りひだ)が広がる特徴的なデザインだ。両サイドにプリーツが広がる点はまったく同じだし、その色も共にパープル。スリットが入っている高さもほぼ一緒、丈が膝下までなのも同じだ。大きな違いはearthが半袖、EZUMiがノースリーブということくらいだが、これも過去のEZUMiの作品を見てみると、昨年のものに半袖のサイドプリーツワンピースがあるのである。

「EZUMiは受注生産が主な上質ブランドで、このワンピースも1着5万円超。広瀬さんのものとは10倍の開きがありますから、もちろん素材や細かい部分は異なります。でも、ワンピースを特徴づける部分はぱっと見、同じではないか、と。EZUMiの愛用者からは“一緒にされたくない!”なんて声まで上がっています」(同)

「プロ」はどう見たか

 誤解を恐れずに言えば、ファッションの世界では“模倣”がまかり通っていると言ってもよい。「コピー」と「インスパイア」の違いは極めて曖昧で、巷で売られている洋服がどこかしらで見たことがある、とか、「〜風」だったりするのは日常茶飯事だ。

 それを踏まえた上で、“業界相場”としてこの類似はどう受け止められるのか。「プロ」に聞いてみると、

「これは……似ているという印象は避けられないですね……。正直な感想ですが」

 と言うのは、ファッションジャーナリストの西山栄子さんである。

「江角さんのブランドは海外でも売れていて、今、若手の中でも特に注目されている、こだわりを持ったブランドです。今回のワンピースも大胆で着やすく、新しさとのバランスもとれている点で、彼らしさがよく出ていますよね。決してどこにでもあるというものではなく、これまでありそうだけどなかったもの。ですからearthさんのほうについては、作った方が雑誌や展示会などでご覧になり、記憶に残ったデザインを参考にした……という可能性が否定できません」

 また、

「コピーと言われても仕方ないくらい似ていますよね」

 とより“強め”の感想を述べるのは、ファッション評論家の堀江瑠璃子さん。

「半袖とノースリーブという違いがあるだけで、他はそっくり。このワンピースのデザインは、素人がゼロから考えたというには無理があるくらい大胆な発想です。ワンピースからプリーツがどれくらい見えるかというバランスはかなり工夫が必要ですし、流行にもぴったりハマったデザインです。盗作とまでは言いませんけど、“参考にした”くらいは……。彼女が最初からすべて考えたというのは厳しいですよね」

 と、やはりその類似性と、「偶然の一致」とはなかなか言い切れないことを強調するのだ。

 実際、時系列で考えると、earthのワンピースが発表されたのはこの4月半ば。他方の江角氏の発表は、そこから遡ること8カ月の昨年8月だ。“先行作品”を見る機会は十分にあったということになる。

(2)へつづく

「週刊新潮」2019年5月23日号 掲載