直近の業績が良さそうなのにビックカメラの株価は冴えない。なぜだろう(写真:taka/PIXTA)

アメリカ株は結構戻っているのに、なかなか上がらないのが日本株。戻り売りの圧力が強いのか。1月中下旬、カリスマ投資家の内田衛氏はどうしていたのか。自分の持ち株を眺めつつ、いくつかの注目銘柄を「下がったら買おう」と思っているようだ。早速「株日記」で見てみよう。

【1月15日 火曜日】NYダウは、86ドル安の2万3909ドルと続落。一方、日経平均株価は、195円高の2万0555円と続伸。保有銘柄では、日本郵政(6178)が15円高の1336円、すかいらーくホールディングス(3197)は、35円高の1804円、ミツウロコグループホールディングス(8131)は19円高の798円と、いずれも信用取り組みが売り長(株不足)で需給が締まっている銘柄が強いようだ。

【1月16日 水曜日】日経225先物は、90円安の2万0420円、NYダウは、155ドル高の2万4065ドル。英国議会、EU離脱案を大差で否決、野党が内閣不信任案。日経平均は、112円安の2万0442円と3日ぶり反落。

洋菓子のシベールが民事再生手続き開始の申し立て

【1月17日 木曜日】日経225先物は、140円高の2万0570円と反発。NYダウも、141ドル高の2万4207ドルと続伸。日経平均は、40円安の2万0402円と続落。


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18時15分、山形、仙台が本拠の洋菓子メーカーでジャスダック上場のシベール(2228)が、民事再生手続き開始の申し立てに関するお知らせを発表した。負債総額約20億円。本日の終値は、15円高の1330円で出来高は1000株。昨年来高値は、2018年6月29日に付けた3010円。株価は安くなっていたとはいえ、1330円もしていたのだから、青天の霹靂というか突然死状態で、経営破綻するとは思われていなかったのだろう。

2016年8月期は、赤字転落であったが、期末配当30円、2017年8月期は、赤字であったが期末配当15円、2018年8月期も3期連続赤字で無配、継続前提に重要事象となっていた。しかし、これぐらいのことは、よくあることだ。

経営破綻前の兆候としてよくあることは、株主優待廃止や債務超過がある。シベールは、8月に100株で3000円相当、500株で6000円相当の自社製品(ラスク・焼き菓子等)の株主優待を実施していた。また、2018年8月期で、純資産8億6300万円(自己資本比率30.5%)、1株当たり純資産は、601円もあった。ただ、キャッシュフローの状況を見ると、現金の期末残高が8500万円と危機的状況であったようだ。手持ち資金では、1月18日に支払期限が到来する債務の弁済が困難な状態だった。

3期連続赤字で銀行融資ができなくても、筆頭株主が自社(自己株)で37万株(20.4%)を売り出すとか、新株を発行し公募増資をして資金調達し、その間に新商品開発などを行うなど、生き残る手段はなかったのかと思うと残念である。

【1月18日 金曜日】日経225先物は、150円高の2万0500円、NYダウは、162ドル高の2万4370ドル。昨日、民事再生の申し立てをして整理銘柄となったシベールは、300円ストップ安、大引け1本値で1030円。出来高4100株。日経平均は、263円高の2万0666円と3日ぶり反発。

【1月19日 土曜日】日経225先物は、290円高の2万0920円、NYダウは、336ドル高の2万4706ドル。1ドル=109.72円、1ユーロ=124.69円。株も為替もリバウンドが継続しているようだ。

経営破綻銘柄でマネーゲームが行われている

【1月21日 月曜日】日経平均は、53円高の2万0719円と続伸。11時7分、シベールが861円安の169円で寄り付き、826円安の204円で引けた。出来高は、188万0800株と大商いで、経営破綻した銘柄で、マネーゲームが繰り広げられている。上場廃止日は、2月18日の月曜日で2月15日まで売買はできるが、経営破綻した会社の株価が204円は高いと思う。優待目的保有銘柄では、自動車電装部品、電子部品のコネクター主力の鈴木(6785)が、48円高(8.42%)の618円と大幅高で、値上がり率7位。特に材料は見当たらない。

【1月22日 火曜日】日経225先物は、20円高の2万0740円、NY市場は、キング牧師生誕の日の祝日で休場。日経平均は、96円安の2万0622円。

【1月23日 水曜日】日経225先物は、170円安の2万0390円。NYダウは、世界景気減速警戒で、301ドル安の2万4404ドルと5日ぶり反落。日経平均は、29円安の2万0593円。

【1月24日 木曜日】日経225先物は、30円安の2万0530円。NYダウは、171ドル高の2万4575ドル。日経平均は、19円安の2万0574円と3日続落。ビックカメラ(3048)が、連日の昨年来安値を更新し、1年3カ月ぶりの安値を付けた。本日の終値は、34円安の1242円。一時、47円安の1229円の安値を付けた。

同社の株価は、2018年4月11日に年初来高値の1942円を付けているが、実は、私はこの日の寄り付きの1924円で保有株の700株を売っている。約9年間保有し、株価が11倍になったことは、2018年4月27日にアップした記事にも書いた。ビックカメラは、8月本決算で株主優待が2月と8月の年2回あり、売ってから約700円も下がり、そろそろまた買ってもいい水準だなと見ていた。

ビックカメラの業績は、2018年8月期、過去最高純利益の171億2200万円の決算を出しており、今期2019年8月期予想も純利益179億円と連続最高益予想なのに、株価が安値を付けているのは、なぜだろうか?

その有力な理由は、日経新聞夕刊(1月23日)に書いてあった。1つは、10月の消費増税で売り上げが下がる懸念、2つ目は、1月より中国で、電子商取引法が施行され、個人、法人にかかわらず電子商取引業者の登録をしなければならなくなった。さらに、納税の義務も正式に定められた。そのため、電子取引(EC)での転売を目的に、日本で化粧品などを買い込む代理購買が鈍る可能性が高くなりそうだ。

いわゆる爆買いが今までのように期待できなくなることが、売られている理由だった。ほかにも注目している銘柄で、ファンケル(4921)三越伊勢丹ホールディングス(3099)松屋(8237)の下げが気になっていて、優待権利前のこの時期に買おうかどうか虎視眈々と狙っていたところだった。この中国の電子商取引法施行で、中国人の爆買い減の影響がどの程度出てくるのかわからないが、注視していきたい。

株価が下がれば人気銘柄や高配当銘柄を買いたい

【1月25日 金曜日】日経225先物は、30円高の2万0590円。NYダウは22ドル安の2万4553ドル。昨日引け後、株主優待内容の変更を発表したシダックス(4837)は、12円高の344円と好感したようだ。変更内容は、500株基準で、自社グループ商品(6000円から1万2000円へ変更)とカラオケ・シダックス店舗で使用できる優待券(1万3500円から5400円へ変更)の選択制なのだが、店舗のカラオケより自社グループ商品(昨年は、ワインやブドウジュースなど)のほうがいいということのようだ。日経平均は、198円高の2万0773円と4日ぶり反発。

【1月26日 土曜日】日経225先物は、10円高の2万0790円。NYダウは183ドル高の2万4737ドル。1ドル=109.50円、1ユーロ=124.99円。日経平均株価は、12月26日に付けた1万8948円の昨年来安値から上げ下げをしながらリバウンドが継続している。信用取引の買い残高は、1年7カ月ぶり(2017年6月)の低水準で売り圧力は軽くなっている。しかし、これは1月効果という1月は上がりやすいという季節性のアノマリー(経験則)かもしれない。この上昇トレンドが、月が変わるときに下落トレンドになることも多い。2月は下がったところがあれば、ビックカメラのような人気優待銘柄や高配当利回り銘柄を権利月直前のこの2月、3月の時期に買ってみたいと思っている。