阪神タイガースの本拠地・甲子園球場

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阪神がソフトバンクから戦力外通告を受けた寺原隼人投手(35)と城所龍磨外野手(33)の獲得調査に乗り出すことが2018年11月9日、分かった。球団関係者によると、来シーズンのV奪回に向けて投手陣、センターライン強化を方針に補強に乗り出す。

17年ぶりの最下位に沈んだ今シーズンの阪神。貧打解消とともに来シーズンの強化課題となるのが投手陣の整備だ。序盤戦は投手陣の踏ん張りでチームを救う場面が何度も見られたが、終盤に入ると序盤のツケが回ってきたのか投手陣に疲労の色が見られ、逆転負けを喫するゲームが多くなった。

「甲子園のヒーロー」なら話題性も十分

先発に関しては、FAを宣言しているオリックスの西勇輝投手の獲得に動いており、寺原投手には中継ぎ、抑えとしての期待がかかる。今季は21試合に登板し、勝ち負けはつかず4つのホールドをマーク。ピークは過ぎたとはいえ、150キロ近いストレートは健在で、短いイニングならば十分に通用するだろう。

また、寺原投手といえば甲子園である。日南学園高3年時に夏の甲子園で当時の最速記録を更新する154キロをマーク。かつての甲子園のヒーローが17年ぶりに甲子園へ。話題性は十分だ。

一方、捕手出身の矢野燿大監督はセンターラインを重視しており、この意向が補強に大きく反映される見通しだ。今季、センターラインのレギュラーが定着せず、ラインを固定することが出来なかった。

城所の加入でセンターライン固定へ

これを踏まえ、今年のドラフトでは1位に大阪ガスの近本光司外野手、2位には遊撃手の小幡竜平内野手(延岡学園高)、3位も遊撃手の木浪聖也内野手(Honda)を獲得。これは将来のセンターラインを見据えてのものだが、センターライン固定の即戦力として城所外野手の調査に乗り出した。

城所外野手は俊足と強肩が武器の中堅手。選手層の厚いソフトバンクでは今シーズン41試合に出場し、守備固め、代走での起用が多かったが、阪神の球団関係者は、守備範囲に不安を残す両翼のベテラン、糸井嘉男外野手と福留孝介外野手を十分にカバーするだけの力はあると見ている。

2018年の年俸は寺原投手が4500万円(推定)、城所外野手は4000万円(推定)と、高額年俸を誇るソフトバンクにおいては低めで、獲得に動くにあたり大きな支障はなさそうだ。

西勇輝投手に4年20億円の大型契約を用意しているとの報道にもあるように、今後FA、新外国人の補強に費やすための原資を確保しておくためにも、ここでの金額は抑えたいところ。

「戦力外」「自由契約」組もリストアップ

前出の球団関係者は「フロントが新体制となって補強についての考え方もだいぶ変わってきた。ある程度の金額は許されるムードがある。だが、それはFAと新外国人に限ってのこと。その他の補強に関しては、それほど出すつもりはないでしょう」と、戦力外選手に大金をつぎ込むことはないと指摘した。

阪神はこの2選手の他にも他球団を戦力外、自由契約となった選手を積極的にリストアップし調査していく方針で、今月13日にタマホームスタジアム筑後で予定される合同トライアウトにも編成担当を派遣し、あらゆる可能性を模索していく。

現在、高知・安芸で行われている秋季キャンプの第3クール中に、藤原崇起次期オーナーが視察に訪れる予定で、そこで矢野監督と会談し、FA、新外国人を含む戦力補強に関して最終確認を行うとみられる。