NTTドコモ200億円規模の災害対策を追加 北海道胆振東部地震、台風21号の対応実績からさらなる強化へ

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NTTドコモは5日、「災害対策の取り組み」に関する記者向けの説明会を本社ビルの災害対策室において実施した。

登壇者は、
NTTドコモネットワーク本部 サービス運営部 災害対策室 室長 小林和則氏。

「近年の激甚化・広域化する災害を踏まえたNTTドコモの災害対策」
・災害への取り組み
・直近の災害対応事例
・更なる災害対策
上記3点について説明が行われた。

■ドコモの「災害対策3原則」と、これまで取り組み

ドコモの災害対策3原則


ドコモにおける「災害対策3原則」とは、以下の3点であると説明。
システムとしての信頼性向上
携帯電話基地局や中継局における耐震、風水害防護、火災防護対策といった設備構造の強化

重要通信の確保
110、119、118の緊急通報、災害時に重要通信を扱う期間に対する災害時優先電話制度など

通信サービスの早期復旧
移動基地局車、衛星エントランス基地局・移動電源者・発動発電機など、災害対策機器によるエリア復旧


東日本大震災からの教訓


一方で、2011年3月に発生した東日本大震災から得た教訓により、新たな災害対策における取り組みを実施してきたという。
1)大ゾーン方式基地局を全国106カ所に設置
2)基地局の無停電化、バッテリーの24時間化を推進(約1900局)
3)衛星システムを活用したエリアの早期構築
4)マイクロエントランス回線を活用した機動的なエリア構築
5)衛星携帯電話の即時提供による避難所などの通信確保
6)災害時に強いパケット通信を活用した「災害用音声お届けサービス」の開発
7)復旧エリアマップの拡充
8)災害用伝言板の音声ガイダンス対応
9)エリアメールのさらなる活用
10)SNSなどとの連携によるICT活用のさらなる推進

上記の10項目において、200億円を投じて今日まで取り組んできた。


大ゾーン基地局の設置


大ゾーン基地局の設置
大ゾーン基地局は、通常時でも電源は入っている。電波は照射されていないが、“予備の予備”といえる災害時の通信インフラ維持のための最後の砦的な設備だ。

小林氏は、実際に電波を照射して運用するような状況には「なりえてほしくない」と言う。

中ゾーン基地局の全国展
これらの対策からおよそ7年が経過している間も、中ゾーン基地局を全国展開するといった取り組みも行っている。
これは通常基地局の基盤を強化した基地局を、全国に展開するというもの。
2017年度末時点で、1474局の中ゾーン基地局を展開しているが、2019年度末までに全国で2000局以上を目指している。


■直近の事例および今後のさらなる災害対策について

大ゾーン基地局による広域エリア救済


異なる地域で複合的に大規模な災害が発生した。
9月3日から5日
・台風21号 四国や近畿、東海地方を縦断

9月6日の午前3時8分頃
・北海道胆振(いぶり)東部地震 M6.7を記録し、北海道全域で停電が発生

この複合災害により、最大で約2800局の基地局でサービス中断が発生した
ドコモグループおよび関連会社を合わせ、延べ2500人体制で復旧にあたった。

全国で初めて大ゾーン基地局を運用

大ゾーン基地局による広域エリア救済


北海道・釧路市の中心部においては、停電の長期化により広範囲にわたって基地局がサービス中断した。このため全国で初めて大ゾーン基地局を運用し、エリア救済を実施した。

大ゾーン基地局は半径7kmをカバーできるが、今回のケースでは通常基地局との干渉を避けるために、市中心部から半径3kmに絞った範囲をカバーした。

大ゾーン基地局の運用時間は、
9月6日(木)16時26分から9月7日(金)14時45分まで。
この間に、サービスが中断している基地局の復電が進み、その状況を見ながら、大ゾーン基地局を閉鎖していくという運用を実施した。

大ゾーン基地局は、
・6つの方向(セクター)毎に電波を照射
もしくは、
・必要なセクターにだけ電波を照射
これらが可能だという。

また、北海道全域が停電したことを受けて、
・避難所やドコモショップ、自社ビルの開放
・「無料充電サービス」の実施
こうした支援活動もされていた。


更なる災害対策の推進



NTTドコモでは、これらの直近の災害での対応を振り返り、
・広域、長時間停電への備え
・重要通信の確保、信頼性向上
・通信サービスの早期復旧
・被災地支援強化
この4点をあげ、2年間で200億円規模の災害対策を追加実施していくとのことだ。

この中には、災害地に基地局を持っていける
・「移動基地局車」の増配備
・「衛星搭載可搬型基地局」での衛星回線帯域の拡大
という内容も盛り込まれている。

小林氏によると、現状では、
・衛星搭載移動基地局車…全国に40台弱
・衛星非搭載移動基地局車…全国に40台強
・可搬型基地局…全国に40台強
あるという。

現状でもある程度配備されているが、基地局車を小型化し、機動性も確保するなどして、全国どこでも出動できるようにしていくのが今後の目標だという。


ドコモショップへの蓄電池や太陽光発電システムの設置


さらにドコモショップの設備としては、
・蓄電池
・太陽光発電システム
・車載インバーター
・マルチチャージャー
これらもドコモ主導で取り組んでいくという。

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撮影・執筆:2106bpm