NHK、北海道地震で「異例呼びかけ」 番組内容「SNSで伝えて」の狙いは
北海道で2018年9月6日未明に発生した最大震度7の地震を受け、NHKが報道番組の中で実施した「異例の呼びかけ」が、インターネット上で「本当に素晴らしい」と称賛を集めている。
今回の地震では、北海道のほぼ全域で大規模な停電が発生。こうした状況から、NHKは道外の視聴者に向けて、番組で報じた内容をメールやSNSで被災地に伝えるように繰り返しアナウンスしたのだ。
なぜ、こうした呼びかけを行ったのか。J-CASTニュースが、NHK広報局に聞いた。
「離れたところだからこそできるサポートを」
地震は6日午前3時8分頃に発生。これを受けNHK総合テレビでは、直後から地震関連のニュース特番を放送した。その中で、視聴者の注目を集めたのが、SNSやメールを活用した情報提供の呼びかけだった。
当初の放送予定を変更して災害情報を伝えた「おはよう日本」では、高瀬耕造アナウンサー(42)が、道外の視聴者に向けて次のように語りかけた。
「この大規模な停電によりまして、テレビやラジオで情報を得られない人が多くいます。情報がないと、不安や怖さが増します。北海道の揺れが強かった地域に、家族や友人、知り合いがいる方、メールやSNSなどでライフラインや被害の情報、注意点などを送ってあげてください。
NHKがこれから、情報を詳しくお伝えしていきます。そのNHKが報じる情報を、皆さん自身が伝えてください。その際、この情報を近所のお年寄りや、障害のある皆さんなどにも伝えるよう、あわせてお願いしてください。
離れたところだからこそできるサポートを、お願いします」
同様の呼びかけは、その後の地震ニュースでも繰り返し行われた。こうしたアナウンスにツイッターやネット掲示板では、
「これ若者は電気使えてればネットである程度情報収集もできるけど LINEやメールがやっと使えるくらいの年齢層には大事なアプローチ」
「時代のツールを最大限に活かすための、本当に『新しいアナウンス』だと思いました」
といった声が相次いで寄せられた。
一方で、停電によってスマホの充電も難しい状況だけに、メールなどの連絡が殺到するといたずらに電力を消費してしまうのではないかとして、「本当に正しいことなのか」と疑問視するユーザーもおり、ネット上の反応は賛否両論といった様子だ。
NHK「何回も呼び掛けたのは初めてです」
はたして、どういった経緯で今回の呼びかけに至ったのだろうか。
NHK広報局の担当者は7日夕、J-CASTニュースの取材に対し、メールやSNSを活用した情報提供について「何回も呼び掛けたのは初めてです」と説明。その上で、実施理由については次のようにコメントした。
「NHKは、先日の西日本豪雨災害など、大規模な災害時の被災者の声を受け、さまざまな呼び掛けを検討しています。大規模な停電が起きると、テレビやラジオで情報を得られない人たちがおり、情報がないことで、不安や恐怖を感じる人も多くいます。
こうした不安や恐怖を解消する1つの方策として、今回の呼び掛けを行いました。地震の発生から時間が経過するにつれて優先してお伝えすべき事は変わって来るので、常時判断しながら呼び掛けの頻度や内容も変えています」