撮影:橋本千尋(P.M.A.トライアングル)

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映画化をきっかけに、最近なんだかアメコミがやたらと気になる。

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近年は、『アイアンマン』や『スパイダーマン』らを擁するマーベル・コミック作品の『アベンジャーズ』シリーズが目立つ一方で、一昨年公開の『スーサイド・スクワッド』、昨年公開の『ジャスティス・リーグ』をはじめとしたDCコミックス原作の作品にも熱い視線がそそがれている。

しかしながら、漠然と“アメコミ作品”であるというイメージはあるものの、その何たるかを知らない人たちも多いのではないだろうか。

そこで、映画をきっかけにアメコミにどっぷりハマりたい人たちにさらなる魅力を知ってもらうべく、東京・秋葉原にある“アメコミの聖地”として名高い『ブリスターコミックス』へとお邪魔し、アメコミの楽しみ方などについて話を聞いた。

今回はまず初級編として、アメコミと日本の漫画界にみられる違い、2大巨頭とされる「DCコミックス」と「マーベルコミック」それぞれの特徴や、注目のキャラクターを紹介していく。

“アメコミの聖地”に直撃!

今回お邪魔した『ブリスターコミックス』は、秋葉原のシンボルでもある複合型ビル・秋葉原UDXの向かいにある建物の3階にある書店。

階段を上り、入り口へ向かうまでにもさまざまなアメコミ関連のポスターが貼られていて、その空間をひと目見るだけでもワクワクが高まるのを感じずにいられない。

店内にはDCやマーベルをはじめとする、アメコミの原書(アメリカなどで発行されているオリジナルのコミック)や邦訳版が所狭しと並んでいる。書籍関係の在庫は約3万点が揃っている。

アメコミの原書は、日本における『週刊少年ジャンプ』や『週刊少年サンデー』などの少年漫画誌のように、定期刊行されるのが一般的だ。しかし実は、アメコミ界と日本の漫画界ではいくつかの違いもある。

日本における少年漫画誌には、さまざまな作品が連載されているが、アメコミは1タイトル・1話単位で発行されているという。人気タイトルであれば2週間おきの隔週発行で、それ以外の場合は月刊が定番。

「同じタイトルや巻数であっても通常と表紙の異なる『ヴァリアント版』があり、発売日には並んで買いに来るコレクターの方もいます」(スタッフ氏)

そして、“完全分業制”であるという点も日本の漫画界とは異なる。日本の場合、編集者の付いた漫画家が原作から制作までを一手に手がけるのが通例だが、アメコミの場合は異なる。

「大きく分けて表紙の制作、ストーリーの脚本家、作画を担当するペンシラー、原画にペン入れをするインカー、そして編集者がそれぞれ独立しています。

また『アベンジャーズ』や『ジャスティス・リーグ』のように、ひとつの世界観や時間軸の中で、それぞれ他のタイトルに登場するヒーローやヴィランズ(悪役)が集結して活躍する作品が多いのも、アメコミの魅力です」(スタッフ氏)

出版社ごとに、作風の違いも

アメコミといえば、気になるのはやはり2大巨頭である「DCコミックス」と「マーベルコミック」の関係性だ。

歴史としてはDCコミックスが1934年に設立され、その後1939年にアメコミ出版社「タイムリー・コミックス」が発足し、やがて「マーベルコミック」となった経緯がある。

各出版社ごとに作風の違いもある。ブリスターのスタッフ氏いわく、食事に例えるなら「DCはご飯で、マーベルはパンのような存在」。

「『バットマン』をはじめとするDCは、重厚な人間ドラマを中心として噛めば噛むほど味わいが増すような作品が多く、『スパイダーマン』などを擁するマーベルコミックは、バリエーション豊富で華もありながら口にした瞬間から風味を感じられるような作品が多い印象です」(スタッフ氏)

どちらも魅力的なヒーローやヴィランズが多く、実写やアニメなど、さまざまな形で映像化されている作品も多い。そして、映像では語り切れていないキャラクターの設定や背景を掘り下げられるのも、アメコミの魅力だ。

ここでアメコミ初心者にもオススメの、いま注目のキャラクターやタイトルを伺った。

初心者にもオススメ! 注目作品&キャラクター

■グウェンプール(マーベル)

アメコミ界で人気の日本人によるイラストレーターユニット・グリヒルが作画を手がけるタイトル。

「コミックの世界を愛する“オタクの少女”グウェンプールが活躍する物語で、絵がポップかつていねい。かわいらしいキャラクターが多いので日本人にもなじみやすい作品です」(スタッフ氏)

コミック:『グウェンプール:こっちの世界にオジャマしま〜す』(ヴィレッジブックス)など

■フラッシュ(DC)

昨年公開の映画『ジャスティス・リーグ』に登場したほか、海外ドラマ『THE FLASH/フラッシュ』も人気を博すヒーロー。世界最速のヒーローと称されるほどの超常能力によりときには時間すらも超えるキャラクターだ。

「さっそうと駆け抜ける彼の勇姿は一見の価値アリですね」(スタッフ氏)

コミック:『フラッシュポイント』(ヴィレッジブックス)など

■ストリートファイター

ご存知、日本発の国民的格闘ゲームのアメコミ版。アーティスト集団・UDON Entertainmentが手がけた作品で、リュウやケン、ザンギエフなどおなじみのキャラクターがコミックに登場。ブリスター・コミックスでは特設コーナーも設けられている。

「いわば逆輸入の人気作品ですが、売れ筋で目を止めるお客さんも多いです」(スタッフ氏)

コミック:『ストリートファイター ザ・コミックvol.1』(カプコン)など

アメコミとひと口にいっても、知ろうとすればするほどその世界は奥深い。次回の中級編では、引き続き『ブリスターコミックス』でのお話を元に、アメコミの魅力を掘り下げていく。

取材協力:ブリスターコミックス
住所/〒101-0021 東京都千代田区外神田4-3-10 ミナミビル3F
営業時間/11:00〜20:00(年中無休)
電話番号/03-6206-4404
アクセス/JR 秋葉原駅 電気街口(徒歩約4分)/東京メトロ日比谷線:秋葉原駅(徒歩約6分)/東京メトロ銀座線:末広町駅(徒歩約4分)