【ソウル聯合ニュース】韓国の情報機関・国家情報院(国情院)が朴槿恵(パク・クネ)前政権時代に朴氏側に国情院特殊活動費を裏金として上納したとされる事件で、ソウル中央地検は8日、朴氏の資産について裁判所に追徴保全を申し立てたと発表した。

 検察は同事件に絡み、4日に国情院からの収賄および国庫損失、業務上横領の罪で朴氏を追起訴した。

 追徴保全の申し立ては、同事件をめぐる今後の裁判で朴氏が有罪判決を受ける可能性に備えた措置。

 追徴保全の対象は朴氏が昨年28億ウォン(現在のレートで3億円)で購入したソウル・内谷洞の住宅と1億ウォンの小切手30枚で、小切手は朴氏の弁護人を務めた柳栄夏(ユ・ヨンハ)弁護士が預かっているという。

 裁判所が追徴保全命令を出した場合、朴氏は資産の売却や他人への譲渡などが禁じられる。

 昨年3月に政府公職者倫理委員会が公表した高官の財産に関する定期申告資料によると、2016年末現在の朴氏の財産は、当時所有していたソウル・三成洞の住宅(27億1000万ウォン、公示地価)と預金(10億2820万ウォン)を合わせ37億3820万ウォンだった。

 しかし、朴氏は昨年、三成洞の住宅を公示地価よりはるかに高い67億5000万ウォンで売却し内谷洞の住宅を購入したため、現在の資産は最低60億ウォン台に上る。

 朴氏は小切手以外に10億ウォン余りの現金も柳氏に預けており、検察は小切手と現金について、三成洞の住宅売却で得たものと判断している。

 柳氏は検察の出頭要請に応じていないが、朴氏から預かった小切手について、今後の弁護などに備えるためと検察側に説明したという。

 検察によると、朴氏は大統領就任直後の13年5月から16年7月にかけ、国情院長から毎月5000万〜2億ウォンずつ、計35億ウォンの国情院特殊活動費を裏金として受け取った。

 また、16年6〜8月に毎月5000万ウォンずつ、計1億5000万ウォンを当時の青瓦台(大統領府)秘書室長に支援するよう国情院長に要求した罪にも問われている。