ブラジル人記者が見た日本のポテンシャル 「もったいない試合だった」と語る理由は?

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現地で取材したロゼッチ記者を直撃 「日本は攻撃面に関してとても興味深いチーム」

 ブラジル代表は10日にフランスのリールで行われた日本代表との国際親善試合で、3-1と完勝を収めた。

 日頃から王国ブラジルの戦いを目の当たりにしている識者には、ハリルジャパンはどのように映ったのか。この一戦を現地取材したブラジルの情報サイト「Globo.com」でサッカー番を務めるアレシャンドレ・ロゼッチ記者を直撃した。

 ロゼッチ記者は、日本のファーストインプレッションについて次のように語る。

「日本代表は攻撃面に関して、とても興味深いチームだ。スピードのある、魅力的な選手たちがいたし、チーム全体でスピーディーなプレーができる。対戦相手のエリアでパス回しもできる。攻撃でブラジルにプレッシャーをかけることができた」

 スピードを生かした攻撃のポテンシャルを評価する一方で、敗因についても冷静に分析する。

「日本はその長所を生かして、ボールを前に運ぶようにオーガナイズすれば良かったんだけど、それができなかったんだ。それで、プレッシャーをかけながらも、ブラジルの守備を危険にさらすところまではいかなかった。かたやブラジルは、日本がそうやって攻撃でプレッシャーをかけようとしてきた時に、露呈した守備の弱さを非常によく生かしたんだ」

「勇気あるスタイルが敗因でもある」

 ロゼッチ記者は、ブラジルと対戦する上で、日本が選択したプレースタイルが、“危険”の隣り合わせであることを指摘する。

「日本代表は勇気があるよ。ブラジルと対戦するのに、勇気あるスタイルで臨もうとした。 だけど、それが敗因でもあるんだ。ブラジルと対戦する、というのはそういうこと。ブラジルだけじゃないよ。他のいくつかの代表チームでも、最高レベルの相手と戦う時には、守備のシステムを改善する必要がある。少なくとも、チームプレーの面で、もっと良くオーガナイズする必要がある。 今の状態なら、日本が攻撃に意識を割いている隙に、ブラジルはスピードを生かして、簡単に日本のペナルティエリアに入ることができる」

 同記者は、日本の選手やチームとしてのポテンシャルを感じるだけに、「もったいない試合だった」とも語る。だからこそ、ワールドカップまでの準備期間で修正点を整理すれば、その印象を大きく変えるはずだと期待している。

「日本は守備をもう少しオーガナイズすること。攻撃の選手たちも、もう少し守備に協力すること。もう少し、堅い守備のできるチームにするためにね」

 強い相手と対戦し、修正点を知る。それも、こうした親善試合の重要な目的の一つだ。ロゼッチ記者はワールドカップでの日本を見るのを「楽しみにしている」と締めくくった。

【了】

藤原清美●文 text by Kiyomi Fujiwara

ゲッティイメージズ●写真 photo by Getty Images