幸先の良いスタートを切った宇佐美。ドイツでの受難の日々に、別れを告げる時が来た。(C)Getty Images

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 ドイツ・ブンデスリーガ2部、フォルトゥナ・デュッセルドルフの日本代表FW、宇佐美貴史への賛辞が止まない。
 
 9月10日の第5節、ウニオン・ベルリンとの上位対決。74分に投入された宇佐美は、1点ビハインドの84分にゴール前の浮き球を豪快に右足アウトで蹴り込み、試合を振り出しに戻した。その後デュッセルドルフは終了間際の劇的ゴールで逆転に成功。宇佐美はホームでの公式戦デビューを、勝利と出色のパフォーマンスで飾った。
 
 国内メディアこぞってその貢献を称え、デュッセルドルフの地元紙『Rheinische Post(RP)』も好評価。「ウサミは出場するや、スタジアム全体の目を覚まさせた。およそ1000人の日本人サポーターを喜ばせただけでなく、2万6341人の観衆の目を釘付けにしたのだ」と描写し、「20分間の出場で11回もボールに触り、7本のパス、2本のシュートを放った。そのうちひとつを見事ゴールに繋げたのである」と記した。
 
 とはいえ、試合前はさほど大きな期待はかけていなかったという。
 
「移籍期限ぎりぎりで入団したわけで、連携に不安を抱えていたし、どこまでやれるのかには疑問符が付いていた。ところがどうだ。予想を超えるパフォーマンスだった。フリードヘルム・フンケル監督が彼をベンチに置いたのは、信頼があったからこそだろう。指揮官は直前の練習試合でウサミを試し、その実力を確認済みだった」
 
 さらに同紙は、クラブスポンサーである日本企業のトーヨータイヤ社が宇佐美のサラリーを肩代わりしていると補足。ロベルト・シェーファー会長の「タカシがある一定数の試合に出場すれば、アウクスブルクにレンタル料を払わなくて済むんだ」というコメントを紹介し、その活躍がクラブ財政をも助けるだろうと論じた。