眞子さま婚約で「女性宮家」議論本格化か これ以上ないタイミング
秋篠宮家の眞子さま(25)が小室圭さん(25)と婚約されることが2017年5月16日夜に明らかになったことで、「女性宮家」創設の議論が熱を帯びそうだ。ひとつは現行制度上、女性皇族は結婚によって皇族の身分を離れるため、皇族減少が進むことになるためだ。
皇族減少の問題をめぐってはかねてから国会で議論があったが、持ち上がっては停滞してきた。だが、今回はこれまでに比べて本格的な議論をする状況が整っていると言えなくもない。
「天皇の退位等に関する皇室典範の特例法案」を5月19日に閣議決定
皇室典範12条は「皇族女子は、天皇及び皇族以外の者と婚姻したときは、皇族の身分を離れる」と規定しており、結婚すると眞子さまは皇族の身分でなくなる。皇室の構成は現在、男性5人と女性14人の19人で、眞子さまを含む7人の未婚の女性皇族が結婚すると、女性皇族は7人になる。
女性皇族は、減少する男性皇族の公務などを補ってきた。そのため、結婚して皇族を離れていくことで、将来的な皇室活動の継続を懸念する声は少なくない。そこで皇族減少の対策として議論されるのが、女性皇族が結婚後も皇族の身分を保てるようにする「女性宮家」の創設だ。今回の眞子さま婚約の知らせにより、議論が進むとの見方が強い。
眞子さまが結婚すれば天皇陛下の孫で初めて。天皇陛下の孫は眞子さま、愛子さま(15)、佳子さま(22)、悠仁さま(10)の4人だが、現行の皇室典範に則れば将来的には悠仁さま1人になる可能性があり、そうなると公務の負担が集中することになる。
「天皇陛下の生前退位」をめぐる動きとも、ぴったり時期が重なった。政府は5月19日に「天皇の退位等に関する皇室典範の特例法案」を閣議決定する予定で、皇室の議論は国会に場を移す。同法案が与党に了承された12日の毎日新聞によると、自民党からは「皇位継承者が減少している問題も引き続き議論していくべき」との意見が複数出ている。眞子さまが皇室を離れる見込みになったことで、国会審議で議題にあがりそうだ。
国会では、天皇陛下退位への立法府としての対応について記述した「衆参両院正副議長による議論のとりまとめ」を3月17日、政府に提示している。ここでも「安定的な皇位継承を確保するための女性宮家の創設等については、政府において、今般の『皇室典範の附則の改正』及び『特例法』の施行後速やかに検討すべき」として議論を促し、その検討結果を国会に報告する時期について「附帯決議」に盛り込むよう求めた。附帯決議とは、法案可決に際し、その法律の運用などについて国会の意思を表明するもので、法的拘束力はないが政府は尊重することが求められる。
菅長官「厳粛に受け止め、安定的な皇位継承の検討を進めていきたい」
眞子さま婚約報道から一夜明けた5月17日、菅義偉官房長官は午前の記者会見で、皇族減少の問題について見解を問われ、「政府はこれ(「とりまとめ」)を厳粛に受け止め、引き続き安定的な皇位継承の検討を進めていきたい」とした。
ただ、眞子さま婚約を機に議論が「加速」する可能性について問われると、菅氏は「政府としては各政党・各会派における協議を見守ってもらいたい。現段階ではこれ以上のことは申し上げるべきではないと思う」と言うにとどめた。
民進党も女性宮家の創設に意欲的だ。蓮舫代表はフェイスブックで17日、眞子さま婚約を受け、「立法府の一員として皇室減少との現実に正面から向き合うことも大きな課題と深く認識をします。天皇陛下のご退位を実現する特例法案の国会での審議が準備されています」として、皇族減少問題の議論の本格化を希望。「女性宮家の創設等」について政府が結論を出す時期をめぐって「国会の審議においては期限を区切った形で結論を出す方向で議論してほしいと思います」とした。
女性宮家をめぐっては、これまで何度も議論が浮上しては停滞してきた。
旧民主党政権時代の12年10月には、当時の野田佳彦首相が女性宮家創設の必要性を唱える論点整理をまとめたが、同年12月の総選挙で自民党への政権交代が起こり、白紙状態になった。
さらにさかのぼると、04年に当時の小泉純一郎首相は、男性皇族が40年間誕生していなかった状況を受けて「皇室典範に関する有識者会議」を設置した。会議は女性宮家の創設容認を含む報告書をまとめ、小泉氏は皇室典範改正法案の国会提出に意欲的だった。それが06年10月に悠仁さまが誕生すると、皇位継承問題に一応の解決をみた自民党内で慎重論が強まり、法案提出は結局されずじまいだった。
今回の眞子さま婚約の知らせにより、女性宮家創設の議論は本格化するのか。