(写真提供=SPORTS KOREA)

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大ヒットドラマ『逃げるは恥だが役に立つ』。

新垣結衣演じるみくりと星野源演じる平匡、さらには石田ゆり子扮する百合ちゃんや大谷亮平演じる風見さんなどのキャラ設定が、韓国人にとっても感情移入しやすいことは以前も紹介したが、ドラマの重要キーワードとなる「結婚観」についても、韓国人は『逃げ恥』ワールドに共感しているのかもしれない。

変わりゆく韓国の結婚観が深刻

というのも12月12日、韓国統計庁は「韓国の社会動向2016」を発刊。

同書は国民の生活と社会変化を誰もが簡単に理解できるように統計表やグラフが多用された報告書だが、なかでも注目したいのは「結婚」に関するデータだ。

「韓国の社会動向2016」を見ると、「必ず結婚するべき」と答えた比率は、男性16.6%、女性13.7%(2014年調査)。逆に「結婚はしても、しなくてもどちらでもいい」という人は男性34.4%、女性43.0%で、こちらが多数派ということになった。

結婚に関する思いは、相対的に女性のほうがドライという結果になったが、変化が著しいのは男性の結婚観かもしれない。

1998年の調査に比べて「必ず結婚するべき」と答えた人の割合は、女性は16.8%ポイントの減少だが、男性は20.3%ポイントも減らしている。未婚者に限ると、「必ず結婚するべき」と答えた男性は9.9%しかいないというのだから、いかに変化しているかがわかるだろう。

韓国でも“プロの独身”を自称するリアル平匡や、悠々自適な独身貴族生活を送るリアル風見さんのようなタイプの男性たちが存在するのである。

そんな調査結果を証明するかのように、韓国の婚姻件数は減少傾向が続いている。

『朝鮮日報』によると、2016年1〜9月までの婚姻件数は20万6000件で、2015年の同期間より6.5%減少したという。年末までの婚姻件数は約28万件と予想されているが、年間婚姻件数が30万件を下回るのは、1977年以降40年ぶりらしい。

『逃げ恥』も、そもそもはみくりが「契約結婚」という形を選択し提案したことに端を発するが、韓国でも結婚が選択肢のひとつになりつつあるとも言えるかもしれない。

ただ、韓国の若者たちがそもそも本当に「選択」できているのかという問題はあるだろう。

そう思わざるを得ないのは、ネット上にはこんな書き込みが溢れているからだ。

「一人の生活でも苦しいのに、家族を食べさせ、両親の面倒をみるとなると…」
「結婚しても子どもたちに貧乏を相続させるだけ」
「ゴミのような人生は自分の代で終わらせたい」
「子どもを生んで、この苦労を味わわせるなんて、考えられない」

サラリーマンの約45.8%が月収200万ウォン(約20万円)以下で生活しているという“韓国社会の世知辛い実態”が明らかになった昨今。現在の韓国経済について、実に90%の人たちが「危機」と答えたという調査結果もあった。

結婚を自ら“捨てた”のなら選択ということになるが、“捨てざるを得なかった”のであれば話は変わってくるだろう。

さらに韓国では、若者が経済的に成り上がることも非常に困難だという。

極端な例だが、米ブルームバーグが発表した「世界の富豪400人ランキング」を見ればそれはわかる。日本と韓国の富豪がそれぞれ5人ランクインしているが、その“質”が大きく違うのだ。

オクスフォード人口問題研究所から「地球上で真っ先に消え去る国」とされ、3年後に “人口絶壁”を迎えるとされている韓国。人口絶壁を目前にしながら、若者の“結婚離れ”が加速している現状には気を揉まずにはいられないだろう。

100年後には人口が1000万人になるというデータもあるだけに、一刻も早い対策に迫られている。

それだけに『逃げ恥』が韓国でリメイクされてその世界観をより多くの視聴者に届けられれば、韓国の若者たちの“結婚観”にもさまざまな影響を与えられるかもしれない。

個人的にはこういったポジティブ要素を与えられる日本ドラマこそ、韓国でリメイクされてほしい、いや、されるべきだと思っている。
(参考記事:韓国でリメイクされた日本のドラマを一挙紹介。最近はあのドラマまで!?

(文=慎 武宏)