過去を振り返れば、このポジションでも結果を残してきた実績がある。オーストラリアにとっても、名実ともに日本の“顔”でもある男に、ゴールに最も近い場所でプレーされるのは、いつも以上に神経をすり減らすだろう。
 
 中央に陣取る本田に相手の意識が集中すれば、両サイドが空いてくる。その隙を見逃さず素早く縦に仕掛けるのが、左はドリブル突破に優れる原口、そして右はスピード自慢の浅野だ。
 
 代表ではもはや“お客さん”ではなくなった21歳の浅野は、この大舞台でも十分に本領を発揮してくれそうな雰囲気を漂わせている。
 
 それでも、指揮官が少しでも躊躇するなら、清武という選択肢も浮上してくるだろう。となれば、トップ下には香川が“復帰”することになるか。あ・うんの連係を見せるふたりのコンビプレーが輝けば、攻撃にはさらに流動性が生まれるだろう。
 
 本田を頂点に、香川のトップ下&清武の右ウイングは、“プランB”としては興味深い編成である。
 繰り返しになるが、敵地でのオーストラリア戦は今予選を大きく占う一戦となる。厳しい戦いを覚悟しなければならないが、勝点3を掴めれば、選手たちが本来持っているはずの自信も回復し、最近はどこかナイーブになっている指揮官も余裕を取り戻すだろう。
 
 高さ対策は当然として、ここ最近のオーストラリアは「サッカー自体が多少、変わってきていて、ロングボールを多用する形から、ボールをつなぐ形が増えたのかなと思う」と吉田はその印象を語る。
 
 パワー勝負で決して怯まず、それと同時に、地上戦でも集中を切らさずに対応する。まずは守備でリズムを整えたうえで、徐々に盛り返していくのがゲームプランとなりそうだ。
 
 とにかく、焦らずに、粘り強くプレーすることが肝心だ。先にリードを奪われても、逆に先制できたとしても、落ち着いてゲームを進めながら、チーム一丸となって大きな成果を手にしたい。
 
取材・文:広島由寛(サッカーダイジェスト編集部)