刀剣男士を束ねて、いざ出陣! 舞台『刀剣乱舞』出演 鈴木拡樹&荒牧慶彦インタビュー
「刀剣乱舞-ONLINE-」は、名だたる刀剣を個性豊かなキャラクターに擬人化した“刀剣男士”とうけんだんしたちが活躍するゲーム。各地の博物館での名刀展示に女性ファンが押し寄せるなど、さまざまな社会現象を生み、一大ブームを巻き起こしている。そんな話題作がこのたび、ストレートプレイになって上演されることに。三日月宗近みかづきむねちか役の鈴木拡樹と山姥切国広やまんばぎりくにひろ役の荒牧慶彦に、本作への意気込みを語ってもらった。刀剣男士を愛する審神者さにわの皆様、ぜひご一読ください。

撮影/すずき大すけ ヘアメイク/古橋香奈子 取材・文/野口理香子

気になる刀剣男士は誰ですか?



――「刀剣乱舞-ONLINE-」は名だたる刀剣が戦士の姿となった“刀剣男士”を収集・育成・強化し、歴史改変を目論む敵を討伐していくゲームで、2015年1月にサービスを開始して以降、一大ブームを巻き起こしています。舞台に出演が決まる前から「刀剣乱舞」について知っていましたか? 

荒牧 名前だけは知ってました。刀が擬人化されてるゲームが人気だよって。
鈴木 僕も知ってました。というのも、自身がやってるツイッターのほうで、たまにファンの方から「最近こういうのが流行ってるんですよ〜」ってリプライで教えてもらうことがあって。
荒牧 そうなんだ!?
鈴木 それで今回も「『刀剣乱舞』ってゲームが流行ってるんですよ」って。「なるほど。じゃあいずれ実写化する機会もあるのかな?」と思った3日後に、舞台のオファーをいただいたんです。
荒牧 えーっ!
鈴木 不思議なめぐり合わせだよね。すごくホットなタイミングだったので、ビックリしました。

――「刀剣がモチーフ」という設定を知って、どう思いましたか? これまでにも、電車や血液型、世界の国々を擬人化した作品などはありますが… 

荒牧 おもしろいですよねぇ。
鈴木 ねぇ。でも僕が驚いたのは、このゲームの影響か、刀が好きな女性がこんなにいるんだっていうこと。
荒牧 確かに! “歴女”(歴史好きな女性)とか“仏女”(仏像または仏教好きな女性)とかも聞くけど、こんなにアツいジャンルなんだね。

――実際にゲームをプレイされているそうですが、実際にやってみて、世の女性たちがハマる理由がわかりました? 

荒牧 純粋におもしろいゲームなので、僕もさっそくハマってます。
鈴木 やっぱり鍛刀たんとうにハマるよね。
荒牧 鍛刀ですか!?

――ゲームをやったことがない人のために説明すると、“鍛刀”とは、資源(木炭、玉鋼、冷却材、砥石)を消費して新たな刀剣男士を作ること。どの資源をどのくらい使うかによって、できやすい刀剣男士が変わります。 

鈴木 作ろうとすると、「何分でできあがります」みたいに時間が表示されるんだけど、それでだいたい予想できちゃうんだよね、自分の欲しい刀かどうか(笑)。
荒牧 僕は最初、ゲームのシステムがよくわからなくて、最低値の50/50/50/50で毎回やってたの。そしたらずっと同じ短刀しかできなくって…。
鈴木 あぁ(笑)。ピンクのふわふわした髪型で半ズボンの彼ね?
荒牧 そうです、秋田藤四郎あきたとうしろうです。レシピというものがあることを知ったのは、だいぶあと。それまでずっと彼を見てたから、秋田藤四郎には個人的に愛着があります(笑)。



――鈴木さんは、気になる刀剣男士はいますか? 

鈴木 僕は以前、歴史モノの作品で森蘭丸を演じたことがあるので、不動行光ふどうゆきみつに惹かれますね。

――不動行光は、織田信長が所有していた短刀で、のちに小姓の蘭丸に与えたと言われていますからね。ところで、ゲームはスマホで? 

鈴木 そうです。
荒牧 僕も。PCが壊れてたから、半ば諦めてたんですよ。だからスマホでできることになってうれしいです。ゲームがもともと大好きなので、電車での移動中とかもずっとやってます。
鈴木 僕は、仕事が終わって家に帰ってからやることが多いですね。資源を増やすためにこなすべき「日課」というものが存在するので、クリアしなきゃ!!って夢中になります。

三日月宗近と山姥切国広の関係性



――そんな話題作が舞台化。鈴木さんが演じる三日月宗近は、最も美しいと評される天下五剣のひとつ。平安貴族のような優雅さを漂わせています。 

鈴木 究極のマイペースと言われています。だから舞台で演じるならば、会話にせよ行動にせよ、みんなとワンテンポずれているんだろうなと。あと、演じる際のポイントになってくるのは、所作的なことですよね。

――狩衣かりぎぬ(平安時代の公家の服)の衣裳を着ての身のこなし、なかなか難しそうですね。 

鈴木 キャラっぽくなりすぎないように、それでいて気品を出せるように…そのバランスを稽古中に探っていくのが課題です。



――荒牧さんが演じる山姥切国広は、霊剣『山姥切』を模して造られたとされる打刀。オリジナルでないことにコンプレックスを抱いています。 

荒牧 一言で言うと、めんどくさい性格なんですよね(笑)。“写し”であることのコンプレックスからか少しこじらせていて、ボロボロの白い布を身にまとったりしている。

――「キレイ」と褒められることを嫌っていて、そういった賛辞を受けないよう、わざとみずぼらしい格好をしているんですよね。 

荒牧 でもあんまり放置し過ぎるとすねちゃうっていう、めんどくさいけど可愛いヤツなんです(笑)。
鈴木 アハハハ。
荒牧 彼を演じるうえで気をつけたいことは…やっぱり身にまとってる布が特長的だから、立ち回りとかで布をキレイにさばけたらいいなと思います。

――役柄との共通点は見つかりました? 

荒牧 戦闘になったら自信満々になるところは似てるのかなと思います。やるときはやる!っていうのは、僕も同じなので。でも、コンプレックスの塊ってわけではない…(笑)。キャラが自分と違うからこそ、演じるのが楽しみです。

――三日月宗近のおじいちゃんっぽい雰囲気は、鈴木さんと通じるものがあるような気がするのですが、どうでしょう? 

鈴木 まぁ実際、通常キャストの中では最年長ですしね(笑)。

――あっ、年齢ではなく、話し方や言葉の選び方、穏やかな笑顔などからそう感じたんですが…。 

鈴木 アハハハ。「マイペース」って人に言われるところは一緒ですね(笑)。ただ気をつけないといけないのは、「マイペース」は、それぞれのペースということ。僕のペースと彼のペースは違うので、彼のペースを探らないといけないなと思っています。

――ゲームから得られるキャラクターの情報がそこまで多くないので、自分の中で想像を膨らませて補完していく作業が必要ですよね。 

鈴木 そうなんですよね、立ち絵も少ないですし。
荒牧 自分の山姥切とお客さんの山姥切が一致したら、それはステキなことだなと思うので、研究しまくろうという感じですね。

――2人が会話をするシーンもゲーム内にはありませんが、山姥切のこじらせたちょっとめんどくさい性格も、おじいちゃんキャラの三日月なら温かく受け止めてくれるんじゃないかと思います(笑)。 

荒牧 よしよししてくれそう!
鈴木 話を聞きながら、「そうか、そうかー」ってね(笑)。