間違った肌ケアは活性酸素や紫外線より有害!?こんなお手入れは今すぐストップ!

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“隠れ炎症”とは、シミやシワなどの老化や、糖尿病や動脈硬化などの生活習慣病をもたらすリスクがある慢性的な炎症のこと。

「間違ったスキンケアで生じる物理的な刺激は、紫外線や活性酸素に勝るとも劣らないほど、有害です」と、杏林製薬株式会社スキンケア研究所の山田利光所長は説明する。

本来、紫外線や大気汚染などの外的ストレスから体を守り、水分が失われないよう、肌にはバリア機能が備わっている。

「ところが、“こする”“たたく”“引っ張る”といった刺激は、肌にはたいへんなストレスで、毎日繰り返すことで肌のバリア機能を担う表皮を壊してしまう。その結果、炎症をもたらすサイトカインが発生しやすい状態に。サイトカインとは細胞間に情報を伝えるたんぱく質で、メラニンの発生を促したり肌のターンオーバーを狂わせたりするため、“隠れ炎症”が顕在化する可能性があります」(同)

だからこそ、日々のスキンケアやメイクでは、“ふく”や“こする”という行為は、できるだけ避けたいという。

「洗顔では、強くこすったり押したりするのはNG。顔に優しく洗顔料をのせて、汚れを包み込むように全体に広げてから洗い流すことで、肌へのダメージが予防できます。洗顔後はタオルを軽く押し当てる程度で水分をとりましょう」(同)

肌が脂っぽいときに洗顔ブラシを使ったり、毛穴の汚れを落とすためにスクラブ洗顔をしたり…。肌に強い刺激を与えてしまいそうだけれど、これらは大丈夫?

「洗顔ブラシは馬毛など、肌あたりが柔らかい素材のものなら、週に1、2度は使っても悪影響はありません。ただその際は気になる部分に2、3秒程度使うだけにしましょう。スクラブも米ぬかなどなるべくやわらかいものを選択し、強くこすらないように。強力な毛穴パックは必要な皮脂まで除去する上、肌に傷を付けて炎症サイトカインを誘発させるためNG。どうしても汚れが気になるときは、角栓をゆるめるタイプのオイルパックがおすすめです」(同)

ファンデーションのパフやスポンジ、アイシャドウなどのチップには、繰り返し使っていることで、皮脂やホコリが付いて、雑菌が繁殖している恐れが。

「当然ながら肌ストレスの原因になるため、中性洗剤でこまめに洗いましょう。生乾きだと雑菌が増殖します」(同)

肌は年齢をいちばん感じさせる部位。毎日のちょっとした心がけで、隠れ炎症による肌老化を防ぐことが大事といえそう。

山田利光
1979年、山之内製薬中央研究所入社。医薬品の研究開発に従事(薬理学)。91年、博士号取得後、ジョンスホプキンス大学Asthma & Allergy Centerへ留学。93年に帰国後、山之内製薬薬理第四研究室長就任。2007年、杏林製薬入社研究開発部門部長を経て、14年から杏林製薬スキンケア研究所所長。医薬品開発では主に免疫・炎症の研究に従事、グローバル医薬品開発プロジェクトのリーダーも務め、多くの製品開発に携わる。2014年からは医薬品研究での経験を活かし、創薬視点のスキンケア研究に取り組む。