世界初公開作品も!上野の国立西洋美術館で「カラヴァッジョ展」開催

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ミケランジェロ・メリージ・ダ・カラヴァッジョ(1571-1610年)は、西洋美術史上最も偉大な芸術家のひとりとして、今でもイタリアが誇る大画家。徹底的にリアルな筆使いや、絵の中にドラマティックな効果をもたらす明暗法など、ルネサンス以降の絵画の歴史を変えたと言われる画法は、17世紀の画家たちにも熱狂的に支持されたとか。彼の作品を見ると、16世紀の後半から17世紀の初頭にかけてヨーロッパで花開いた「バロック美術」の革新的なスタイルもわかるはず。

上野の「国立西洋美術館」では、2016年3月1日(火)から6月12日(日)まで、「日伊国交樹立150周年記念 カラヴァッジョ展」を開催する。本展では、イタリアの代表的な美術館が所蔵するカラヴァッジョの名作11点と、彼の絵画技法に大きな影響を受けた「カラヴァッジェスキ(継承者たち)」と呼ばれる画家たちの作品を合わせて、計51点の絵画を展示するそう。

カラヴァッジョの作品は、教会に設置されるなど移動不可能なものも多いため、多数の作品が一度に展示されるのは、めったにないことだとか。今回は、日本で過去最多の出品数の展覧会が実現。これほどの規模で公開されるのは、世界でも珍しいそう。

目玉は、世界初の公開となる『法悦のマグダラのマリア』(1606年)。カラヴァッジョが死の間際に持っていた3点の絵画のうちの1点といわれるこの作品は、17世紀当時はこのマリアのポーズが人気となって、数多くの模倣作品が描かれたというエピソードも。長い間行方不明になっていて、2014年に発見されたという点も気になるところ。

会場は、「風俗」「五感」「静物」「肖像」「光」「斬首」「聖人」などのテーマを、カラヴァッジョの絵を読み解くキーワードとして選び、それぞれを深く理解できるように構成されている。

写真の作品は「風俗画」の章で紹介されている『女占い師』。それ以前のルネサンス絵画のように人物を理想化せず、目の前のモデルを忠実に写し取り、女占い師が男性の手相を見るふりをしながら指輪を抜き取る様子を分かりやすく描いたもので、当時はこの簡潔な表現が衝撃的だったそう。


劇的な「光」の効果も、カラヴァッジョ作品の特徴のひとつ。写真は「新約聖書」に出てくるキリストの姿を題材にした『エマオの晩餐』。内省的で静謐な光で登場人物の表情を浮かび上がらせる画法は、その後のルーベンスやレンブラントらの作品にも受け継がれている。

生来の激しい性格のせいで、裁判や暴力事件も多かったという彼の裁判資料なども展示されるそう。作品と合わせて見ることで、芸術と人生それぞれのドラマが浮かび上がるかも。彼とその作品について詳しく知りたい人は、3月1日(火)14時から館内の講堂で開催される関連講演会「カラヴァッジョと彼の影響」」などの関連講演会を覗いてみて。


また、会場では日本初輸入となる、カラヴァッジョゆかりの地・マルタ島の「カラヴァッジョワイン」(4種、各4320円)を販売するそう。こちらは瓶のエチケットにカラヴァッジョ作品を使用した特別ワイン。

さらに、3月25日(金)から27日(日)の3日間は、上野公園の噴水前広場で開催される「上野『文化の杜』アーツフェスタ・2016春」に期間限定の「CAFFE CARAVAGGIO(カフェ・カラヴァッジョ)」がオープン。このワインのほかにゴゾチーズを使った「マルタサンド」や「アリオッタ(マルタの魚介スープ)」などのフードメニューもいただけるとか。

イタリアが誇る偉大な画家の作品を堪能したら、ゆかりのグルメも味わってみては。