東アジアカップで、日本代表のベンチには霜田正浩技術委員長が座っている。本来は監督を評価する立場の人物が、監督のすぐ隣にいるのだ。その仕事をつぶさに見ながら、すぐにでも監督を切り捨てようとしているのではないか。ハリルホジッチ監督はもうそこまで追い込まれているのか。

「勝てば相手が弱かったと言われ、負けるとすぐ責任を問われますからね」
日本サッカー協会の関係者が少々ぼやきながら、事情を明かした。

「霜田さんがベンチにいるのは、ハリルホジッチ監督のリクエストです。監督は全員の一体感を大事にする。だから練習の際のランニングでは選手だけでなく、監督や通訳まで含めたスタッフも一緒に走る。霜田さんも一緒に走っています。ミーティングもスタッフまで全員集合。そういうことの一環ですよ」

ではベンチで霜田強化委員長は何をしているのか。

「霜田さんには強化委員長という肩書き以外に『テクニカル・ダイレクター』という肩書きもあります。技術的な話を選手にするという立場ですね。ハリルホジッチ監督の言葉が通訳を通じて伝えられたときに、補助的なアドバイスとして霜田さんが選手に言葉をかけています」

それは選手の言葉からも裏付けられた。今回初招集された藤田直之は、「監督からだけじゃなく、自分のプレーに対してのいいところと悪いところをいろいろ話してもらいました」と語っていた。

「勝てばきっとこの一体感がよかったと言ってもらえるでしょう。今はちょっと辛いですけど、とにかくワールドカップに出て、いい成績が出せるかどうかですから……」

ここまでの戦い振りでは、しばらくは肩身が狭そうだ。9月から再開されるワールドカップ予選でスッキリさせることはできれば、しばらくは落ち着けるはずだが、はたして大丈夫だろうか……。

【日本蹴球合同会社/森雅史】