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●今後はインターネットに注力"大企業"に成り下がりたくはない――。ソフトバンクの孫正義代表は、2015年3月期決算説明会で、こんな刺激的な言葉を使い今後の経営ビジョンを語った。

○今後は「インターネット」事業に注力

孫氏は冒頭、「現在、ソフトバンクは第2のステージに向かう大事な転換期を迎えている」と説明。これまでは、国内および米国における「通信」インフラを整えることに注力してきた同社だが、今後はグローバル規模で展開する「インターネット」事業に注力していく方針だという。

具体的には「グローバルで展開するインターネット企業の筆頭株主となり、事業をマネージすることで、戦略的なグループを結成していく」(同氏)。この中心を担う企業として期待を寄せるのが、昨年、米ニューヨーク証券取引所へ上場したことでも大きな話題となった、中国のネット通販最大手「アリババグループ」である。

ソフトバンクが約3割を出資するアリババの、2015年3月期 純利益は6,767億円に達する見込み。これは、ウォルマート(世界)の取扱金額に匹敵する規模だ。孫氏は、アリババについて「Eコマース市場で、いまや世界最大の企業となった。しかも、まだ様々な角度で成長できる要素が残されている。いまは燃え盛る炎に薪を足している状況。今後の10年間を、非常に楽しみにしている」と賛辞を惜しまない。

日本国内のEコマース市場に目を転じれば、Yahoo! JAPANが順調に成長している。一方、スマートフォン向けのゲーム市場では、ソフトバンクグループ傘下のガンホー・オンライン・エンターテイメントおよびスーパーセルの提供するゲームタイトルが、グローバルランキングで常に上位を維持。このほかソフトバンクが出資する、インド最大のEコマースを運営するsnapdeal.comも、取扱高が前期比301%増と好調に推移。タクシーアプリを提供するOlaも、インドのマーケットシェア80%を獲得するなど堅調に伸びている。決算発表会の場では、インドネシアのtokopedia、アジアのGRABTAXIなども紹介された。

●企業が衰退するポイントは3つ○大企業に成り下がりたくない

次に、孫氏は「30年 ライフサイクル問題」という言葉を紹介。「どんなに成功した大企業も、30年でピークが来る。業界トップブランドのIT企業も、実質的な成長は30年で止まる」と説明した。これは「テクノロジーが古くなる、創業者が歳をとる、ビジネスモデルが古くなる」といった要因で生じるとのことだ。

孫氏は「ソフトバンクは、こうした“大企業”に成り下がりたくはない。それは最大の屈辱、最大の失敗を意味する。我々は、今後とも"最大のベンチャー企業"であり続けたい。これからも輝き、伸び続けていきたい」と言葉に力を込める。

そうした「30年 ライフサイクル問題」を解決するべく、ソフトバンクでは“革新的な起業家集団”であり続けることを目指すという。孫氏は「ソフトバンクでは、グローバルの様々な企業の筆頭株主になることで、世界の起業家とともに、パートナーとして一緒に経営を拡大し、ビジネスモデルを革新し、お互いにシナジーを出し合っていく」と説明。こうした経営方針は、世界でも珍しいモデルになるだろう、と語った。しかし、経営者が歳をとることだけは避けられない。そこで孫氏は、米Googleの経営陣の一人として活躍してきたニケシュ・アローラ氏を、自身の後継者に指名している。

(記事提供:AndroWire編集部)

(近藤謙太郎)